がん患者向け分散型臨床試験(DCT)の新しい取り組み
がん患者の治験参加における課題を解決するため、京都大学医学部附属病院(京大病院)、国立病院機構四国がんセンター、株式会社NTTデータ、NTTドコモビジネスが協力し、アッヴィ合同会社が主導する新しい分散型臨床試験(DCT)を2026年7月より開始します。これは自宅近くの医療機関でプレスクリーニングの同意や適格性確認を受けた後、京大病院で治験薬の投与や検査を行うモデルです。これにより、遠方の医療機関への訪問負担を軽減し、治験参加の機会を広げることを目的としています。
背景
近年、治験参加における情報と地域の格差が問題視されています。臨床試験は特定の医療機関で実施されるため、多くの患者さんが参加の機会を逃しているのが現状です。このような背景を受けて、DCTの導入が注目されています。このモデルは患者さんの居住地に近い医療機関とデジタル技術を活用し、治験を分散して実施するものです。
本取り組みの概要
新しいDCTでは、患者さんは居住地の近くの医療機関にて同意書を交わし、必要な確認手続きを受けます。治験薬の実際の投与や検査は京大病院で行われます。このプロセスによって、患者さんの移動の負担が軽減され、治験参加のための障壁が下げられることが期待されます。
役割分担
各関係機関の役割は明確です。
- - 京大病院: 治験運営の中心となり、患者さんの治療も行います。
- - 四国がんセンター: パートナー医療機関として治験参加前の適格性確認を担当します。
- - アッヴィ: DCT全体の主導役です。
- - NTTデータ: 治験支援システム「PhambieLINQ」を提供し、進捗管理や情報共有を円滑に行います。
- - NTTドコモビジネス: 電子同意システム「SmartPRO」を通じて治験説明や同意取得を遠隔で実施します。
これらの連携により、地域の患者さんが治験参加の機会にアクセスできるようにすることを狙っています。
今後の展望
この試みを通じて、パートナー医療機関を活用したDCTの実運用モデルの確立が目指されています。このモデルの導入によって、地域における治験参加の機会が増加し、患者さんの移動負担を軽減することができるでしょう。また、得られた知見は他の医療機関や治験への展開にも活用される予定です。
NTTデータおよびNTTドコモビジネスは、DCTの普及に向けたシステム基盤の整備も進めており、治験支援システムも2027年にはさらに機能を充実させる計画です。これにより、治験へのアクセス向上と創薬環境の整備が期待されています。
この分散型臨床試験の取組みは、がん患者の治療に新たな光を当てることになるでしょう。より多くの患者が治験に参加することで、様々な治療方法の選択肢が広がり、最終的には治療方法の開発や薬剤の進歩に繋がることが期待されています。