大阪工業大学が土砂災害に立ち向かうロボットシステムを開発
2023年11月27日、大阪工業大学にて土砂災害対応のロボットシステムのデモが実施されます。このシステムは地震や豪雨による河道閉塞の現場で、調査および復旧作業を支援することを目的に開発が進められています。
この研究を率いるのは、同大学ロボット工学科の大須賀公一教授が中心となった研究グループです。従来の対応方法は、二次被害の危険を避けるために人力での作業に依存していました。しかし、新しいロボットシステムの導入により、遠隔操作で安全に作業が行えるようになりました。準備されたロボットは機材を組み替えることで、多様な作業をこなすことが可能です。
河道閉塞の問題
河道閉塞は、地震や豪雨が引き金となり、地滑りやがけ崩れが引き起こされる自然の現象です。これにより、土砂が川をせき止める結果となり、上流では水が溜まり、家屋や田畑が水に浸かる危険が高まります。その上で、水が一気に決壊することで下流に土石流が押し流される恐れがあり、二次被害を引き起こすこともあります。これらの問題は、2024年1月の能登半島地震や台湾での豪雨災害でも顕著でした。
新技術による革新
大須賀教授らは、ヘリコプターで運搬できる1トン程度の小型機材を用意し、状況に応じてこれを組み替えながら異なる作業に対応できるようにしました。デモでは、4種類のロボットを活用し、偵察作業と排水作業の2つのデモを実施する予定です。
使用するロボット
- - 汎用移動ロボット(MEGA)
- - 坂道ロボット(カタパルト)
- - 双胴柔軟クローラロボット(d-Flex-Craw)
- - ホース設置ロボット(i-CentiPot-Ammonite)
これらのロボットは、親亀と子亀のように組み合わせることで、狭い現場でも柔軟に動き回ることができる点が特徴です。例えば、汎用移動ロボットは、他のロボットを運ぶ役割を担い、坂道ロボットは急勾配の地形でも安定して作業を行います。
実施概要
デモは大阪工業大学の枚方キャンパス内「DXフィールド」にて行われ、参加者は事前申し込みが必要です。約1時間の説明を行った後、実際のデモが行われる予定です。これにより、報道関係者及び関心を持つ方々に、河道閉塞への新しい応答を直接体験してもらう機会が提供されます。
このプロジェクトは、内閣府と科学技術振興機構が推進するムーンショット型研究開発事業の一環として進められています。今後、このロボットシステムが災害現場での対応にどのように貢献できるのか、さらなる展開が期待されています。