「人手不足で仕事が受けきれない…」多くの企業が抱える深刻な問題、人手不足。その現状は、帝国データバンクの調査で改めて浮き彫りになった。調査によると、正社員不足を感じている企業は51.7%と、依然として5割を超えている。特に、ITエンジニア不足が深刻な情報サービス業では、70.2%が人手不足に悩んでいるという。一方、非正社員においては、人手不足の割合は29.5%と、前年同月比で低下傾向にある。飲食店や旅館・ホテルを中心に、人手不足は緩和に向かっているようだ。
しかし、人手不足が企業経営に与える影響は深刻だ。2024年の「人手不足倒産」は、すでに過去最多を更新し、企業の存続を脅かしている。特に建設や物流業では、人手不足による倒産が相次いでおり、深刻な状況だ。
政府は、最低賃金の引き上げを目指している。しかし、物価高騰の中で人件費の上昇に耐えられない企業も多く、人手不足がさらに悪化する懸念も拭えない。そこで注目されているのが、「103万円の壁」の見直しだ。所得税の基礎控除合計の見直しは、労働時間の増加につながる可能性があり、人手不足解消への期待も高まっている。しかし、最低賃金の上昇に比例した見直しにとどまれば、労働時間の増加には繋がらない。人手不足の解消のためには、最低賃金の上昇を上回る形で控除合計の上限を引き上げることが求められる。
人手不足は、日本経済全体の成長を阻害する深刻な問題だ。政府は、企業の負担軽減や労働時間の増加を促す政策を推進することで、人手不足解消に向けた取り組みを強化していく必要がある。