自動車向け新Nch MOSFETの開発
ローム株式会社が、低オン抵抗を特長とする新しい車載用Nch MOSFET「RF9x120BKFRA」「RQ3xxx0BxFRA」「RD3x0xxBKHRB」を発表しました。この製品は自動車のドアロック、シートポジション調整、LEDヘッドライトなどさまざまな用途に最適化されています。
開発の背景と目的
自動車業界では、安全性や利便性の向上を目指して、さまざまな電子デバイスが搭載されています。そのため、搭載される電子部品の数が増加しており、同時に燃料消費や電力消費の削減も求められています。特に、PWM制御(パルス幅変調)などのスイッチング用途で使用されるMOSFETは、オン抵抗を低く保ち、消費電力を削減できる製品が必要とされています。これを受けて、ロームは車載向けの低オン抵抗Nch MOSFETを新たに開発しました。
特徴と技術
今回開発されたNch MOSFETは、耐圧が40V、60V、100Vの異なるバリエーションがあり、すべてのモデルがスプリットゲート構造を採用しています。この設計により、高効率な動作が可能となり、低オン抵抗を実現しました。全機種は車載信頼性規格であるAEC-Q101に準拠しているため、高い信頼性を備えています。
パッケージの選択肢
新しいNch MOSFETは3つのパッケージ形状から選ぶことができ、用途に応じた柔軟な選択が可能です。
- - DFN2020Y7LSAA(2.0mm×2.0mm)は小型アプリケーション向けに最適。
- - HSMT8AG(3.3mm×3.3mm)は他の小型用途に。
- - TO-252(DPAK、6.6mm×10.0mm)は広範囲な電源用途に利用される一般的なパッケージです。
小型パッケージでは、ウェッタブルフランク形成技術が採用され、TO-252パッケージはガルウィング形状の端子を持ち、実装信頼性が向上しています。
生産・販売状況
新製品は月産1000万個の体制で量産されており、サンプル価格は500円(税抜)です。生産はローム会社の滋賀工場で行われ、後工程はローム・アポロ株式会社(福岡県)及びタイの製造拠点が担います。これらの製品はインターネットでも購入可能で、チップワンストップ™ やコアスタッフオンライン™からアクセスできます。
今後の展望
ロームは今後、車載向けの中耐圧Nch MOSFETのラインアップをさらに拡充していく予定です。2024年には新たにDFN3333パッケージやHPLF5060パッケージが追加され、2025年には80V品も投入される見込みです。また、Pch品の追加も計画されています。これにより、車載アプリケーションにおけるより高効率な動作や小型化に寄与していきます。
まとめ
ローム株式会社の新しいNch MOSFETは、自動車アプリケーションにおいて信頼性と効率性を兼ね備えた製品です。今後もさらなる製品の開発が期待される中、業界全体の進化に貢献することでしょう。