腸内健康と小麦粉
2025-03-03 10:50:44

高食物繊維小麦粉が腸内環境を改善する可能性を検証した発表

高食物繊維小麦粉が腸内環境改善に寄与する可能性とは



研究概要


日清製粉グループと大妻女子大学の共同研究が高食物繊維小麦粉に関する新たな知見を発表しました。この研究では、小麦粉に含まれる多種の発酵性食物繊維の組成と腸内環境におけるその改善効果について検討されました。具体的には、発表が行われる「日本農芸化学会2025年度札幌大会」では、腸内細菌による短鎖脂肪酸の生成がいかに促進されるのかを解明した結果が報告されます。

研究のポイント


1. 発酵性食物繊維の理解
高食物繊維小麦粉に豊富に含まれるレジスタントスターチは、ヒトの消化酵素に分解されずに大腸に到達し、腸内細菌によって代謝されることが確認されています。この過程において生成される短鎖脂肪酸が腸内環境の改善に寄与します。

2. 比較試験の結果
研究では、高食物繊維小麦粉に含まれるレジスタントスターチが、他の食物繊維と比較しても酢酸生成の基質としての効果が同等または高いことが示されました。具体的には、難消化性デキストリン、β-グルカン、小麦ふすま由来のアラビノキシランとの比較において、その優位性が確認されました。

3. パン生地における効果
高食物繊維小麦粉から作られたパンの分析により、パンに含まれる食物繊維の約84%が発酵性であることがわかりました。これは、腸内環境改善に特化した栄養摂取の可能性を示唆しています。

4. 腸内環境改善の検証
発酵性食物繊維の存在が、腸内で有益なBifidobacterium属菌を増加させ、短鎖脂肪酸の産生を高めることが培養実験で実証されました。

社会的背景


現代社会において、食物繊維は重要な栄養素として認識されています。WHOは一日に必要とされる食物繊維の量を25g以上と定める一方で、日本国内ではその摂取量が不足している現状があります。特に穀物からの食物繊維の摂取が減少していることが指摘されています。発酵性食物繊維の健康機能性が注目される中、本研究はその有用性を科学的に示すものとなります。

今後の展望


研究の成果は、日常的な食生活における食物繊維の摂取を促進し、更なる健康増進に寄与する可能性を秘めています。今後は、これらの結果をもとに人間を対象とした臨床試験が行われ、実用化へ向けたさらなるステップに進むことが期待されます。日清製粉グループは、科学的エビデンスに基づく研究を重ね、健康に寄与する「美味しさと健康」の両立を目指して活動を続けていきます。

まとめ


今回の研究は、高食物繊維小麦粉が腸内環境を改善する可能性を示しており、食品業界に新たな製品開発の機会を提供します。持続可能な食生活を実現するための一助となるでしょう。


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会社情報

会社名
株式会社日清製粉グループ本社
住所
東京都千代田区神田錦町一丁目25番地
電話番号

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