JISARTの新提言
2025-06-16 09:50:39

出自を知る権利を問うJISARTの提言と生殖医療の重要性

出自を知る権利を問うJISARTの提言と生殖医療の重要性



2025年2月7日、国会に提出された特定生殖補助医療に関する法律案が注目を集めています。この法案では、提供型生殖医療が定義され、子どもを持とうとする当事者が外部から精子や卵子を提供される場合の医学的介入が含まれています。日本生殖補助医療標準化機関(JISART)は、これまで2008年以来、非配偶者間体外受精に取り組んできました。これまでの活動を通じ、子どもの福祉を守るべく、「出自を知る権利」にフォーカスした提言を発表しました。

1. JISARTの非配偶者間体外受精の実績



JISARTでは、特に非配偶者間体外受精の倫理的取り組みを重視しています。加盟する30の医療機関のうち、現在6カ所がこの治療を実施し、合計166件の治療が承認され、その結果114人の新たな命が誕生しました。驚くべきことに、提供者の82%が兄弟や姉妹であり、匿名の提供は僅か4%です。このことは、家族としての繋がりを重視した提供が行われていることを示しています。

また、JISARTでは、出生後も子どもとその家族に対する継続的なフォローアップや心理的支援を行い、彼らの発達や関係性を見守っています。

2. 倫理的な取り組み



JISARTは非配偶者間体外受精に関して、以下のような倫理的取り組みを行っています。

ガイドラインの設定


2008年には、JISART独自のガイドラインを作成し、提供者からの卵子や精子による治療の運用方法を明文化しました。このガイドラインに基づき、適切なカウンセリングとインフォームド・コンセントを実施することが求められています。

専門カウンセリング体制の強化


治療に伴う高い心理的負担を考慮し、専門のカウンセラーを配置し、年に2回の研修を行い、専門性を高めています。これにより、子どもの誕生からその後まで一貫した心理支援が可能となります。

フォローアップ部会の運営


2011年から設置したフォローアップ部会では、出生した子どもの定期的な心理評価を行い、必要に応じた支援と相談に応じています。

提供者プロフィールの整備


提供者には身長、体重、血液型、性格、提供理由、お子様へのメッセージなどを記載したプロフィールを作成してもらい、それを将来的に子どもに開示する制度を設けています。

3. 出自を知る権利への取り組み



JISARTは執念深く「出自を知る権利」の保障に努めています。具体的には、以下の取り組みを進めています:
  • - 15歳以上の子に対して提供者情報の開示請求を可能とする制度の構築。
  • - 開示時にはカウンセリングを提供し、相互の理解を促進。
  • - 幼少期からの早期告知を推奨し、同意を前提に情報提供を行います。
  • - 匿名の提供についてもできる限りの情報開示を支援。
  • - 医療機関が閉院した際には、JISARTが情報管理を引き継ぐ体制を整備。

4. 今回の法案の懸念点



新たに提案された法案には、出自に関する開示情報が個人情報に限定されており、提供者に特定を許す情報の開示が欠如しています。また、出自告知が努力義務にとどまり、具体的な支援が不足している現状が懸念されています。これに伴い、JISART倫理委員会は、より具体的な保障が求められると指摘しています。

5. 結論



生殖補助医療の発展を受け、子どもの福祉を基盤にした制度設計が不可欠です。JISARTは今後も出自に関する倫理的課題を追求していき、その実践を通じて社会的な合意形成を図っていく所存です。今後も、特定生殖補助医療の発展に向けた提言や取り組みを続けていくことが期待されます。

提言全文はこちら

JISART概要


JISARTは、日本の不妊治療を専門とするクリニックが集まった組織であり、医療品質の向上と相互審査を行っています。設立から20年が経過し、現在では全国30施設が加盟し、各々が高い実績を誇っています。今後も、望む全てのカップルに向けた期待に応えるため、活動を続けてまいります。


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会社情報

会社名
一般社団法人JISART
住所
大阪府大阪市北区曽根崎新地2-6-23MF桜橋ビル5F
電話番号
06-6131-9741

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