オンプレミスからSaaSへの企業の移行実態
近年、多くの企業がITインフラの見直しを進め、特にオンプレミス型システムからSaaS(Software as a Service)型システムへの移行が増加しています。この背景には、リモートワークの普及やビジネス環境の変化への柔軟な対応が求められる中で、運用効率やコスト、セキュリティの向上が重要になってきたという要因があります。
調査の概要
jinjer株式会社が発表した調査結果によると、企業の経営層と人事担当者236名を対象に、オンプレミスからSaaSへの移行に関する実態を調査しました。この調査の目的は、企業がこの移行を行う動機や満足度、移行後の利点と課題を明らかにすることです。仮により、企業のIT活用戦略に貢献するためのデータを提供することを狙っています。
SaaS移行の実態
調査結果によれば、オンプレミスからSaaSに乗り換えた最も一般的なシステムは「勤怠管理システム」であり、この割合は27.1%を占めています。続いて「人事管理システム」(25.4%)、そして「給与計算システム」(23.7%)と続きました。これにより、多くの企業が人事領域における業務効率化を実現しようとしていることがわかります。
移行理由
企業がオンプレミスからSaaSに移行する理由として最も多いのが「システム保守・管理の属人化をなくすため」で、これが49.1%を占めています。他に「機能改修や運用・保守のコスト削減」や「リモートワーク対応が必要だったため」など、リソース不足や経費の削減を意識した回答が多く見られました。
移行に伴う課題
しかし、オンプレミスからSaaS移行に際して苦労した点もあり、最も多かったのは「カスタマイズ性の制限により業務プロセスを見直す必要があった」という回答で、これが20.4%を占めました。また、従業員からの移行に対する抵抗感や、データ移行にかかる時間、既存システムとの連携の問題も多くの企業で報告されています。
移行後の満足度
興味深いことに、SaaSを導入後に「非常に満足」または「おおむね満足」と応じた企業は51.8%にのぼる一方で、「あまり満足していない」または「非常に不満」との回答はわずか11.1%にとどまりました。これは、SaaSの導入が多くの企業にとって有益であることを示唆しています。
満足の理由として「運用・保守のコストの削減」が最も多く、42.8%となっており、続いて「システム保守・管理の属人化解消」や「多様な働き方への対応」が続きました。一方で、不満の理由としては「カスタマイズ性の制限」が最も多い36.5%という結果が出ており、ここには改善の余地があると考えられます。
今後の展望
調査結果を受けて、jinjer株式会社の最高プロダクト責任者は、「SaaSはIT人材のリソースを最適に活用する上で有効な手段である」とし、企業がより持続可能にシステムを運用することに役立つと指摘しました。今後のシステムの改良に向けて、従業員がより快適に業務できる環境の整備を進めていくと強調しています。
まとめ
企業が直面しているデジタル化の潮流の中で、SaaSは選択肢の一つとしてますます重要な役割を果たしています。運用コストの削減や柔軟な働き方の実現、システム管理の効率化など、SaaSの導入により得られる効果を多くの企業が体験していることが明らかになりました。今後の技術進展とともに、さらに使いやすいシステムが登場することが期待されます。