岡山大学、ヒザラガイから新たに酸化鉄を生成するタンパク質を発見

岡山大学、ヒザラガイのタンパク質発見

国立大学法人岡山大学は、このほど酸化鉄を形成する新たなタンパク質を発見したことを発表しました。この研究は、岡山大学と科学技術振興機構が共同で行ったもので、真核生物で酸化鉄を生成する例が初めて明らかになったのです。

ヒザラガイと酸化鉄

ヒザラガイは独特の生態を持つ軟体動物の一種で、その歯は磁鉄鉱、即ち酸化鉄の一種で作られています。研究チームは、ヒザラガイの「磁鉄鉱の歯」の形成に必要な新たなタンパク質、「RTMP1」を発見しました。

これまで、ヒザラガイがどのようにしてこの硬い磁鉄鉱の歯を作り出しているのか、正確なメカニズムは知られていませんでした。しかし、今回の研究によって、このタンパク質RTMP1が、ヒザラガイの歯を形成する際の骨組みであるキチン繊維に結合し、酸化鉄の生成を誘導することがわかったのです。

環境への影響

この発見は、酸化鉄の合成において非常に重要な意味を持っています。従来、酸化鉄は高温・高圧の環境で形成されることが一般的でしたが、生物がそれを体内で生成することができることが証明されたのです。これにより、環境に優しい酸化鉄の合成技術の開発が進むことが期待されています。

さらに、今回の研究成果は、鉄が関与するさまざまな疾患の治療方法の開発にもつながる可能性があります。健康分野における応用も視野に入れると、そのインパクトは計り知れません。

研究の詳細

この研究は、岡山大学の根本理子准教授を中心としたチームによって行われました。根本准教授は、「生物による鉱物形成の過程を理解することができ、今後の材料開発や医学研究において、新たな道を開くことができると信じています」と述べています。

今回の結果は、2025年8月8日付の米国の科学雑誌「Science」に発表され、多くの科学者たちが注目しています。

今後の展望

この発見を受けて、岡山大学は今後も研究を進め、さらなる応用が期待できる分野の開拓に努めていく予定です。また、共同研究者との連携が生む新たな成果に期待が寄せられています。

この研究成果は、環境に優しい技術や鉄関連の医療分野への応用の可能性を示すものであり、今後の研究動向に注目が集まっています。岡山大学のさらなる展開に期待が高まることでしょう。