新技術で切り拓かれる光学の未来
株式会社東海エンジニアリングサービス(TES)が、このたび、セキュリティシステムや自動運転に不可欠な大型赤外線レンズの画期的な製造技術を開発しました。この技術革新によって、従来は技術的に難しいとされていた直径40mm以上のカルコゲナイドガラスレンズが、割れずに成形できるようになりました。この成果は、赤外線光学デバイスの性能を向上させ、さらには量産化の道を開くものです。
赤外線光学技術の重要性
近年、赤外線を利用した光学機器は、サーモグラフィカメラや夜間視認カメラなど、防犯やセキュリティ、さらには自動運転車両の支援システムに至るまで、私たちの安全に欠かせない技術として定着しています。これらのカメラでは、人体温度に対応した波長の赤外線を透過可能な特殊な材料が必要です。その中でも、カルコゲナイドガラスは、プレス成形が可能な種類として大いに期待されています。
しかし、カルコゲナイドガラスは一般的なガラスに比べて強度が低く、温度変化に敏感であるため、直径10mm以上の大型レンズの成形には大きな技術的課題がありました。これまでの開発過程では、成形の際に割れることが多く、その克服が求められていました。
京都府の支援を受けた革新
この技術的課題に取り組んだのは、TESに勤める若手エンジニアで、入社から3年目を迎えた彼は「エコノミックガーデニングI」という京都府の開発補助事業に応募し、採択を受けました。この助成金を得て、彼は高価な材料の購入やさらに詳しいシミュレーションを進めるための資金を得ることができました。結果として、ガラスの物性データを取得し、詳細なシミュレーションを実施することで、割れずに成形できる条件の確立に成功しました。
このプロジェクトでは、従来の成形技術に基づく新しい条件の設定が求められました。ガスの発生や温度変化による破損を防ぐため、複雑な温度サイクルの制御が必要であることが明らかになり、さらに成形装置の開発に向けても、次の助成事業「エコノミックガーデニングII」に応募しました。
成形装置の開発と展示会への出展
2024年12月には、専用装置の完成が見込まれ、初期の試作では、従来の技術を大きく超える直径50mmのレンズの成形に成功しました。この成果は国内外の展示会でも注目を集め、特にドイツの研究機関からも高く評価されています。
さらに、2025年4月23日から25日にかけて、光学業界の大規模展示会「OPIE'25」に出展することが決定しました。この展示会では、TESのブースにて、直径50mmの大型カルコゲナイドガラスレンズを展示し、従来技術では実現不可能とされてきたサイズと品質のレンズをご覧いただけます。開発者もブースに常駐し、セキュリティや自動運転に関心のある来場者をお待ちしています。
挑戦の背景
この技術革新は、若手エンジニアの果敢な挑戦とTESが誇る革新的な企業文化に根づいています。顧客の価値創造につながる技術開発を全力で支援する温情ある企業風土が、この技術的ブレークスルーを実現させました。今後も、開発チームはさらなるレンズ表面の品質向上を目指し、最適な成形条件の検索に取り組んでいきます。
会社情報
株式会社東海エンジニアリングサービス
所在地: 京都府京都市南区吉祥院宮ノ西町31
事業内容: 光学非球面ガラスレンズの試作、金型加工、金型材料の製造及び販売
URL:
https://tes2001.com/
お問い合わせ先
担当: 井口祐介
※企業問い合わせフォームからのお問い合わせをお願いいたします。
展示会情報
展示会名: OPIE'25(Optics & Photonics International Exhibition 2025)
URL:
https://www.opie.jp/
日程: 2025年4月23日(水)~25日(金)
会場: パシフィコ横浜
ブース番号: O-12