高知県須崎市で始まる虎竹の伐採シーズン
毎年秋が深まると、特産の虎斑竹(とらふだけ)の伐採シーズンがやってきます。この伝統行事は、高知県須崎市の「虎竹の里」にて行われ、135年以上の歴史を持つ竹材専門の企業、竹虎(株式会社山岸竹材店)が主催しています。明治27年に創業し、今日まで多くの人々に愛されてきた竹虎。慢性的な竹の成長に関わる重要なこの作業は、ただの伐採ではなく自然との調和を保つための知恵と技術の結晶です。
伐採の背後にある伝統と技術
虎斑竹は、その美しい虎模様が特徴的で、高知県の限られた地域にしか自生していません。この希少性が、虎竹の価値を一層高めています。しかし、この竹を取り扱うには、ただの伐採作業では済まされません。毎年晩秋から翌年1月下旬にかけて行われる伐採は、特に大切な期間となります。職人たちは、竹の成長状態や色合い、虎模様の出方を熟知しており、最も美しい状態の3〜4年物の竹だけを選別して伐採します。
このような選定には、未来の竹林を守るための細心の注意が必要です。職人たちは、「親竹」と呼ばれる竹を誤って切らないよう注意深く作業を進めます。竹の伐採は、その竹林が健全に再生し、循環していくための大切な手入れでもあるのです。これにより、竹に対する恩返しとして、職人たちの思いが込められています。
伐採の現場から
伐採後、虎竹は山からふもとへと搬出されます。この工程も非常に計画的に行われており、特別に改良された運搬機を使用して竹を傷つけずに運搬します。多くの作業が、虎竹を守るための技術と工夫に満ちています。職人たちが伐採を行う竹林は、澄んだ空気や竹の香り、そして風に揺れる竹葉の音に包まれ、自然の尊さを身近に感じることができます。
この伐採の季節は、単なる伝統行事を超えて、職人たちが自然と竹に対する思いを新たにする大切な機会なのです。彼らは未来を見据え、100年後の竹林を考えながら働きます。
自然の美しさを製品に
伐採された虎竹は、様々な製品に生まれ変わり、私たちの日常に自然の美しさと職人の技術を届けてくれます。虎竹の伐採は、自然と人々が共に生きる姿を体現する貴重な活動であり、多くの方にその価値を知っていただきたいと考えています。
2025年11月1日より、再び伐採準備が始まります。虎竹に興味がある方には、その伐採方法や価値をぜひ知っていただければと思います。詳細は
こちらをご覧ください。
会社情報
虎虎株式会社山岸竹材店は、高知県須崎市安和913-1に本社を構えています。創業は1894年で、特産の虎斑竹を中心に竹製品、竹炭、竹酢液などを手掛けています。
自然と共存する竹林の管理とその美しさを提供する竹虎。今後もその伝統と未来を両立させていく姿を見守っていきたいものです。