AIが実現する獣医療の未来:猫のX線画像から骨を除去する技術
AIが実現する獣医療の未来
獣医療には多くの専門知識と技術が求められる中、AI技術の進展は診断方法に革命をもたらす可能性があります。特に、株式会社Ridge-i(リッジアイ)と北海道大学動物医療センターが共同で研究した「猫の胸部X線画像から骨を除去するAI技術」は、その一例と言えます。この取り組みは、国際会議「ISBI 2024」において採択され、医療画像分野における新しい可能性を提示しています。
研究の背景
動物医療では、獣医師が単独で様々な医療行為を行う必要があり、特にX線画像の読影においては熟練が求められます。しかし、すべての獣医師がこの分野に精通しているわけではありません。そこで、この技術の開発が進められました。目指すのは、X線画像から骨を除去することによって、より正確な診断をサポートすることです。
採択された論文の概要
今回採択された論文は「Unsupervised Domain Adaptation for Human and Animal Chest X-ray Bone Suppression」というタイトルで、著者にはリッジアイの橋本智洋氏、関口頌一朗氏をはじめ、北大動物医療センターの丸尾彩花氏、新坊弦也氏が名を連ねています。この研究は、骨があるX線画像と骨がないX線画像のペアを用いる従来の手法に依存せず、教師なしで骨除去を行う新たなアプローチを提案しています。
具体的な手法
提案された方法は、CT画像をソースドメインとし、X線画像をターゲットドメインとして使用する一連のプロセスを含みます。具体的には、教師なしドメイン適応を通じて、入力レベルと特徴レベルの両方で骨除去を行うことが可能です。この方法により、動物のX線画像から骨を高精度に除去することができ、診断精度の向上が期待されています。
検証結果
著者たちは、動物データセットに対する質的評価と人間のデータセットに対する定量的評価を行い、提案手法が骨除去を高精度で実現できることを確認しました。この成果は、獣医師の診断能力を向上させるだけでなく、動物の治療にかかる時間やコストの削減にも寄与することでしょう。
今後の展望
リッジアイと北大動物医療センターは、この技術のさらなる研究と開発を進めていく予定です。AI技術の進化が獣医療の現場にもたらす影響は計り知れず、今後の成果に期待が寄せられています。獣医師にとっても、動物の健康を守るための強力なツールが手に入ることとなるでしょう。
企業紹介
リッジアイは、AIを活用して社会課題の解決を目指すテクノロジー企業です。特に、マルチモーダルAIに強みを持ち、画像解析や異常検知の分野で多くの実績を上げています。また、SDGs課題の解決にも注力し続けています。その理念のもと、今後も新たなソリューションの提供を目指して邁進していきます。
会社情報
- 会社名
-
株式会社Ridge-i
- 住所
- 東京都千代田区大手町1−6−1大手町ビル 438
- 電話番号
-