AI技術が変える研究者のジャーナル選定
米国テキサス州ボーモントに本社を構えるCabells社が、AIを活用した革新的な著者向けジャーナルマッチングツール『CompassAI』のベータ版を発表しました。日本ではユサコ株式会社が国内総代理店としてこのサービスを提供しています。
論文投稿先選定の悩みを解消
研究者にとって、適切なジャーナルを選ぶことはキャリアや研究成果の影響力に大きく関わるため非常に重要な課題です。しかし、昨今は悪質な学術誌、いわゆる「ハゲタカジャーナル」が急増しており、研究者は信頼できる投稿先を見つけるために多くの時間と労力を費やさざるを得なくなっています。そこで生まれたのがCompassAIです。このツールは、研究者が論文の抄録をシステムにコピー&ペーストすることで、Cabellsの豊富なデータベースから最適な投稿先候補を瞬時に提示してくれます。
CompassAIの主な機能
1. 精密なマッチング
CompassAIは、33,000誌以上のジャーナルデータベースを駆使し、信頼できるジャーナルと悪質なジャーナルのデータを統合しています。具体的には、信頼性が高いとされる13,000誌以上のジャーナル情報(Journalytics Academic/Medicine)に加え、19,000誌以上のハゲタカジャーナルの情報(Predatory Reports)を含んでいます。
2. 簡単操作で迅速な結果
利用方法は極めてシンプルです。論文の抄録をコピーしてペーストするだけで、AIがその内容を分析し最適なマッチング結果を即座に表示します。さらに、ハゲタカジャーナルは自動的に除外されるため、安心して利用できます。
3. 幅広い研究分野に対応
CompassAIは、医学、生物学、物理学、数学、経済学、心理学などの18分野に対応していますので、学際的研究にも柔軟に適応できる点が魅力の一つです。
日本の研究機関にとっての価値
CompassAIは、日本の研究機関にいくつかの重要なメリットを提供します。まず、ハゲタカジャーナルへの誤った投稿を防ぐことで研究の国際的信頼性を向上させます。次に、ジャーナル選定にかかる時間とコストを大幅に削減し、業務効率化を図ります。また、経験の少ない若手研究者でも、適切な判断をする手助けをすることで、彼らの成長を支援します。そして、所属機関の学術的な評判を維持するためのブランド保護もできるといえるでしょう。
CompassAIの利用条件
現在、ベータ版の期間中は、Cabellsの各データベース(Predatory Reports、Journalytics Academic、Journalytics Medicine)に契約している全ての機関で利用可能です。正式版に移行後は、Predatory ReportsとJournalytics Academicの両方を契約している機関、またはJournalytics Medicineを契約している機関のみが利用できるようになります。
Cabells社について
Cabells社は、学術出版業界において40年以上の歴史を持ち、研究者や学術機関に信頼できるジャーナル情報を提供しています。彼らは、ハゲタカジャーナルを見つけるためのデータベース「Predatory Reports」と、高信頼性のジャーナル情報データベース「Journalytics」を開発し、研究者や出版社、業界団体と連携しながら透明性のある公平な出版エコシステムの構築を目指しています。
CompassAIは、研究者にとって欠かせないツールに進化することは間違いありません。今後の展開が非常に楽しみです。