日本M&Aセンターとブリングアウト、生成AI活用の新たなM&A支援サービスを発表
2023年10月、株式会社日本M&Aセンターと株式会社ブリングアウトが共同で開発した、新たなM&A業務支援サービス『Bring Out for M&A(β版)』の運用を開始しました。このサービスは、生成AI技術を活用し、M&Aプロセスにおける対話データの解析を通じて、より高次元なコンサルティングを実現することを目的としています。
M&Aのニーズと課題
近年、日本では後継者不在による事業承継や成長戦略の一環として、M&Aの需要が急速に増加しています。これは、経済の持続的な成長に寄与する重要な手段としてM&Aが認識されているためです。日本M&Aセンターは、「最高のM&Aをより身近に」というビジョンのもと、質の高いM&Aを提供することに努めていますが、従来の業務は多くの時間と人手を要し、同時に成約件数の拡大と品質の維持が難しいという課題も抱えていました。このような状況を打破するために、両社は業務全体の構造変革を促進するためのAI支援を実現すべく新たなサービスの開発に取りかかりました。
Bring Out for M&Aの概要
新たに開発された『Bring Out for M&A(β版)』は、譲渡企業と譲受け候補企業とのインタビューや、企業概要書の提案、キックオフミーティングなどM&A業務に関する様々な対話をAIが解析する仕組みを取り入れています。これにより定量的なデータを基に、より戦略的かつ高品質なコンサルティングが可能となります。両社は資本業務提携を通じて、AIによる支援を段階的に強化していく方針です。
データ解析とその効果
このサービスの開発にあたっては、日本M&Aセンター内で活動する600名以上のM&Aコンサルタントが日々行っている商談データがブリングアウトのAI技術によって解析されました。これまでに、5,000社以上の譲受け候補企業へのインタビューや、1,500社にわたる企業概要書の音声データが蓄積されています。この初期分析により、商談でのハイパフォーマーの提案ロジックが明確化され、商談成功への要因が定量的に導出されたことが示されています。特に、ハイパフォーマーは商談中にM&Aによるシナジーを説明する際、平均よりも多くの時間を費やしていることがわかりました。
今後の展望と発展
2022年以降、両社はM&Aプロセスにおける対話データの収集と解析に取り組んできました。今後は、譲受け企業の戦略に合わせた提案資料の自動作成やシナジー仮説の提示支援といったさらなる機能の拡張を進める計画です。これにより、AIによるマッチングやフィードバック生成が可能となり、よりスムーズな事業運営が実現されることでしょう。
経営者の声
このプロジェクトに関して、ブリングアウトの中野社長は「単なる議事録化にとどまらず、意思決定の核となる対話を構造化することに注力しています」とコメントしました。また、日本M&Aセンターの竹内社長は、「データドリブン経営の推進の中で、経営者との対話から得た重要な情報を可視化し、M&Aコンサルティングの効率化を図ることが不可欠です」と述べています。
日本M&Aセンターとブリングアウトが連携することで、業界全体が変革される可能性を秘めています。今後の展開に目が離せません。