秩父市の中心部に位置する「パリー食堂」は、昭和2年(1927年)に創業し、長い歴史を持つ老舗食堂です。その独特な外観とレトロな雰囲気で、世代を超えて愛され続けてきました。もともとは地元の人々に親しまれ、最近では観光客にも人気が高まっていますが、耐震診断によりその存続が危ぶまれています。
今回、「パリー食堂」は耐震工事にかかる4,000万円を調達すべく、クラウドファンディングを立ち上げました。10月16日から始まったこのプロジェクトは、初日からCAMPFIREの人気ランキングで1位を獲得。応募開始後1週間で540万円以上の支援が集まり、地域内外からの注目が高まっています。
食堂の代表である3代目の川邉義友さん(82歳)と4代目の川邉晃希さん(30歳)は、パリーを通じて昭和の文化を未来に残そうとしています。公式SNSでは、フォロワーや関心を集めることで、さらなる支援を呼びかけています。特に、TikTokでは2ヶ月半で2.6万人のフォロワーを獲得し、累計再生数が1,000万回に達しました。これにより、全国からの応援コメントも1万件以上寄せられています。
また、パリー食堂は地域福祉の役割も果たしています。2024年からは「こども食堂パリー」を毎月第3金曜日に開催し、地域の子どもたちの居場所を提供しています。これにより、年間300人以上の子どもたちが訪れ、食の支援を受けることができます。このように、地域社会とのつながりを大切にし、使い道のあるプロジェクトにする姿勢が、支援を集める一因となっています。
クラウドファンディングの返礼品として、パリーオリジナルグッズや記念木札、特製丼などが用意されています。これにより、支援者が直接的にプロジェクトに参加し、次世代に昭和の文化を引き継ぐ手助けができる仕組みが整っています。
このプロジェクトには「文化財の保存と活用」「こどもたちとの関係性の構築」「観光資源としての魅力の維持」という3つの大きな目標があります。「一つの店舗を守るだけではなく、秩父という地域全体を守るための挑戦」と位置付けられています。支援を通じて、すべての人々が文化の重要性を感じ、未来を共に考える機会を持てると考えています。
現在の進捗状況に加え、多くのメディアでも「パリー食堂」の取り組みが取り上げられており、地域のシンボルとしての役割が再確認されています。フジテレビや日本経済新聞、さまざまなYouTubeチャンネルでも取り上げられたことで、全国的なブームにもつながっています。特に、食堂を訪れた多くのファンからは、「また行きたい」「文化を残してほしい」との声が寄せられています。
「パリー食堂」はただの食事の場ではなく、地域の歴史を物語る貴重な場所です。今回のプロジェクトは、未来のために必要な一歩。地域社会と連帯し、共に未来を見据えた行動に期待が寄せられています。文化財としての価値を理解し、世代を経て引き継がれる美味しさや味わいを、これからも多くの人々に届けていくことができますように。地元の人々も、遠方から訪れる観光客も、ぜひこの挑戦に関わってほしいと思います。