函館市がスマホ市役所を使った新しい防災体制を実証実験

函館市における新たな防災体制の実証実験

2023年9月28日、函館市で「住民と作る災害時の共助DX」という実証実験が行われました。このプロジェクトは、スマホ市役所「GovTech Express」を活用し、市民がリアルタイムで災害時の情報を共有し合い、自助・共助を実現することを目的としています。特に避難所に行けない住民にも配慮した対応を目指しています。

1. 取り組みの背景と目的

近年、自然災害が多発する中、災害時の地域コミュニティの役割が重要視されています。内閣府の「防災基本計画」では、自主防災組織を地域防災の中核として位置付けており、住民同士の助け合いが大きな効果をもたらすとされています。高齢者や障がいがある方々、乳幼児を抱えた家庭など、避難所に行けない方々への支援は、全国的な課題となっています。

これを受け、函館市は自主防災組織と連携し、災害時の共助体制を事前に「可視化」し、どう支援に繋げるかを試行することにしました。地図情報と共有データを駆使して、地域全体で防災意識を高める取り組みです。

2. スマホ市役所の活用

今回の訓練で活用されるのは函館市のLINE公式アカウントに組み込まれているスマホ市役所。2024年1月から開始されたこのサービスは、子育て支援やキャッシュレス決済、証明書の申請など、日常業務をデジタル化したものです。住民は日常的に使用するLINEを通じて、特別な機器なしで災害時の支援を受けられます。これにより、住民の利便性を向上させつつ、防災に関する意識を高める狙いがあります。

3. 訓練の内容と流れ

実証実験では、以下のような内容が行われました。

- 避難所外避難者の登録: 住民が避難所以外の場所で避難する場合、LINEで避難者情報を登録し、その情報がリアルタイムで自動防災組織に共有されます。
- 自宅で動けない住民からの支援申請: 自宅で動けない高齢者や障がい者が、自宅での支援を必要とする場合にLINEを使って支援を要請。
- 支援物資の配布: 自主防災組織が必要な支援物資を配布し、その旨をLINEで報告します。
- QRコードによる避難所のチェックイン: 住民は避難所到着時にQRコードを読み取り、情報を登録します。

このように、住民が能動的に参加できる仕組みを作っています。

4. 地元自治体からのコメント

函館市企画部地域デジタル課の担当者は、「災害の際、避難所に行けない住民を支援するための取り組みの第一歩です。地域の自主防災組織と連携し、デジタルの力で住民のニーズを可視化し、共生する社会を築いていきたい」と語っています。

5. 今後の展望

Bot Expressは、全国的に防災DXの普及を進め、地域コミュニティの成長と防災力の向上を図ります。このような先進的な取り組みは、他の地域にも広がることが期待されています。自治体が協力し合い、誰も取り残さない防災を実現するために、今後も革新を続けることでしょう。

函館市の参加者は、この訓練を通じてデジタルツールがどのように地域の安全を守るのかを体験し、さらなる発展に向けた意識を高めることができたと感じています。新しい防災体制の構築は、地域の未来に希望をもたらします。