ABEJAが目指す未来のAI社会: GENIACプロジェクトの成果と展望

株式会社ABEJAは、経済産業省とNEDOが推進するプロジェクト「GENIAC」での第二期事業が終了し、成果を報告しました。このプロジェクトは、日本国内における生成AIの開発力を強化することを目的としており、特に「人とAIの協調」に重きを置いています。具体的には、ミッションクリティカルな業務にAIをどのように導入し、実用化するかといった観点から研究・開発が進められてきました。

第二期事業は、2024年10月に始まり、2025年4月末までの期間で行われました。この期間中、ABEJAは合計1億円の学習コストをかけて3つの小型化LLM（大規模言語モデル）を開発しました。その結果、特に32Bリーズニングモデルや7Bモデルが、日本語において世界最高水準の性能を誇ることに成功しました。

生成AIのトレードオフを克服

生成AIの分野では、一般的に精度とコストの間にトレードオフが存在します。つまり、高精度のモデルを作成するには膨大なコストがかかるため、実用化が難しいという課題があります。ABEJAはこの課題に取り組み、高精度の特化型モデルの小型化を進めることで、トレードオフの関係を克服することができました。

小型化モデルの詳細

ABEJAが開発したモデルの中で注目すべきは、以下の3つの小型化LLMです：

- ABEJA Qwen2.5-32B Model: 汎用的な性能において、Open AIのGPT-4を超える高評価を受けています。
- ABEJA QwQ-32B Reasoning Model: 同規模モデルの中での最高水準で、GPT-4に匹敵します。
- ABEJA Qwen2.5-7B Model: これは、同様に日本語性能が抜群であり、GPT-3.5 Turboを超える性能を示しています。

これらのモデルは、エッジ環境でのデプロイが可能であり、工場やオフィスなど多様な場面での活用が見込まれています。特に、低コストで高性能なモデルであるため、経済性も大きく改善されました。

情報公開と社会実装

第二期事業中には、ABEJAおよびNEDOが様々な情報を公開する取り組みも行いました。これにより、企業や組織がLLMを活用する機会が増え、社会におけるAI技術革新が進むことを目指しています。また、セミナーやイベントにも積極的に参加し、各種情報を発信しました。

これからもABEJAは、技術の進展を通じて企業のAI実装を支援しつつ、「ゆたかな世界を、実装する」という経営理念を実現すべく努力していくことでしょう。特に、プライバシーが重要な銀行や医療分野などへの導入も見据えており、セキュリティを重視した運用を展開していく意向です。

未来の展望

今後、ABEJAはこれらの新型LLMモデルを多様な業界での実装を進め、さらなる技術革新を目指していく予定です。高精度なAIが普及することで企業のビジネススタイルも変化し、効率的な業務が実現するでしょう。ABEJAの取り組みは、AI技術の新たな可能性を広げることに繋がるのではないでしょうか。

この成果はNEDOの助成事業で得られたものであり、今後もより一層の発展が期待されています。