Gmailガイドライン改訂から1年の調査
メール送信者にとって重要な要素であるGmailのガイドラインが改訂されてから約1年が経過しました。この期間中、株式会社リンクが実施した調査で、企業のガイドラインへの対応状況とDMARCの導入実態が明らかとなりました。日本国内の企業のメール配信担当者を対象に行われたこの調査では、企業がどの程度ガイドラインに対応しているのかが浮き彫りとなっています。
企業のガイドライン対応状況
調査によると、Gmailの「メール送信者のガイドライン」に全て対応できている企業はわずか32.5%という結果が出ました。この数字は前回の調査からほとんど変わらず、依然として多くの企業がガイドラインの全てに対応できていないことが示されています。また、Gmail宛のメールの配信に関しては、28.6%が「届かない・遅延の問題がある」と回答し、約75%の企業が何らかのメールの不達や遅延に気づいていることが分かりました。
DMARCの導入実態
次にDMARCについての調査結果です。全体の約80%の企業がDMARCを導入済みであると回答しており、これは前回調査から大幅な増加を示しています。DMARCの導入理由は主に「Gmailガイドラインへの対応」が多数を占めており、メールの到達率向上を目的とした背景がうかがえます。とはいえ、DMARCを導入していない理由として「技術的問題」が挙げられており、対応の困難さを感じている企業も多いのが現状です。
DMARCの運用と課題
これまでのDMARCレポートの運用状況についても調査が行われました。経過観察の結果、38.9%が「DMARC分析ツールを導入したが、活用できていない」と回答しています。これは導入されたツールが有効に活かされていないことを示し、DMARCのポリシー強化についても「対応中」という企業が61.8%を占めており、具体的なアクションを欠いていることが見て取れます。
特に、DMARCレポートを可視化した後に、次に何をすればよいか分からないと答えた企業が約半数を超える結果となり、この点が大きな課題であることが浮き彫りになりました。
株式会社リンクの見解
株式会社リンクの菱沼憲司氏は、今回の調査結果について、「Gmailのガイドラインへの対応が進まない背景には、自社のメール送信環境をしっかり把握できていないことがある」と指摘しています。今後の改善策としては、まずは自社の送信環境の全体像を明らかにし、DMARCの導入と分析を進めることが大切だと述べています。また、具体的なデータを基にして責任範囲を明確にし、メール配信環境を把握することが求められています。
結論
Gmailのガイドライン改訂が企業に与える影響は大きいことがこの調査からも明らかになりました。企業はDMARCの導入を通じて、メールの到達性や配信環境の改善に努める必要があります。状況を把握し、様々な施策を講じることで、今後のメール配信の安定化と安全性を確保していくことが求められるでしょう。