南大東島の新実験
2023-07-19 10:00:03
南大東島でのEFポリマー実証実験がもたらす農業の未来とは?
南大東島でのEFポリマー実証実験がもたらす農業の未来
南大東島は沖縄本島の東に位置する、美しい海に囲まれた豊かな自然が魅力の離島です。水産業やサトウキビの生産が盛んなこの地域ですが、2023年に入ってからは例年にないほどの少雨に見舞われています。6月末までの降水量は平年の38%に留まり、農業に深刻な影響を与えています。気候変動の影響を受け、沖縄県内の農家は水不足に悩んでいるのです。
この状況を受けて、アグリサポート南大東株式会社の協力のもと、EFポリマーを使ったサトウキビの生育実証実験が始まりました。この実験は、島内約1.2haの農地で推進され、サトウキビの植え付けを行うと同時に、成長過程におけるデータ収集も行います。最終的な成果は2024年の年末から年始にかけての収穫時期に評価される予定です。
EFポリマーは、オレンジの皮などの果物から生成された100%オーガニックの超吸水性ポリマー(SAP)です。土壌にこのポリマーを加えることで、保水力や保肥力が改善され、約40%の水を節約し、肥料使用量も20%削減できるとされています。さらに、作物の収穫量は10%から15%増加する見込みです。驚くべきことに、このポリマーの効果は6ヶ月間持続し、土壌内で12ヶ月後には完全に生分解される特性を持っています。
EFポリマーの実験に携わるチーフ・オペレーション・オフィサー(COO)の下地邦拓は、「気候変動の影響は日本全体に広がっており、水資源の効率的な利用はますます重要になっている。今回の実証実験を通じて、農家の方々の助けになれれば」と話しています。また、同社は沖縄県に限らず、日本全国で同様の水資源問題に直面している農業従事者を支援していく意向を示しています。
EFポリマーは、環境への配慮が強いこの時代において、新たな農業資材として注目されています。この製品は、食品廃棄物をアップサイクルして作られているため、持続可能な農業の実現にも寄与します。特に水不足が深刻な地域にとって、この技術の導入は革新的な解決策となるでしょう。
事業を立ち上げたのは、インド出身の起業家ナラヤン・ラル・ガルジャールで、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の支援を受けて2019年に創業されました。現在、約30名のチームが国を超えて、国際的にこのポリマーの普及に向けた取り組みを行っています。彼らの目指す未来は、水不足を克服するだけでなく、環境問題に対するソリューションを提供することです。
南大東島において行われるEFポリマー実証実験は、単なる農業支援にとどまらず、地域の持続可能な発展に向けた大きな一歩になることが期待されています。水資源の管理が注目される現代において、このような革新的な技術の導入は、農家の方々にとって明るい未来を切り開く助けとなることでしょう。
会社情報
- 会社名
-
EF Polymer 株式会社
- 住所
- 沖縄県国頭郡恩納村字谷茶1919-1
- 電話番号
-
050-3196-8761