豊岡市「乙女の湯」再生
2020-01-20 14:00:49
地域の魅力を再生する!豊岡市「乙女の湯」復活プロジェクトの全貌
豊岡市の「乙女の湯」復活プロジェクトとは
兵庫県北部の豊岡市は、自然豊かなこの地で日本最後の野生コウノトリが棲む場所として有名です。この地に位置する出石町は「但馬の小京都」とも称される歴史ある町ですが、ここにある日帰り温泉館「乙女の湯」が廃業の危機にありました。『乙女の湯』は、2005年に旧出石町の手で開館され、地元住民らの運営によって一時期は年間13万人以上の利用者を誇っていました。しかし、近年は赤字が続き、2018年度には利用者が7万人を下回り、昨年8月以降は閉鎖されてしまったのです。
新たな道を切り開く無償譲渡
そんな厳しい状況の中、豊岡市の中貝宗治市長は、再生の可能性を切り開くために「乙女の湯」を大阪の宿泊施設運営会社「株式会社キリンジ」に無償譲渡することを発表しました。この譲渡は、同社が10年間にわたって「乙女の湯」を運営することが前提とされています。敷地面積約4600平方メートルが無償で譲渡され、周辺の土地は年間56万円で貸し出される仕組みです。
企業の理念と地域密着の取り組み
天川洋介社長が率いるキリンジは、地域資源を生かした宿泊施設のプロデュースに特化しており、これまでに約150室の施設を手掛けてきました。この会社は、民間の力を使って地方を元気にすることを目指しており、昨年には和歌山県の高野下駅をリノベーションした駅舎ホテルを開業し話題を集めました。彼は「乙女の湯」の運営を引き受ける決断をし、地域住民の声を大切にする姿勢を貫いています。
新たな温泉付きグランピングの魅力
天川社長が提案するのは、乙女の湯をグランピング施設として再生すること。グランピングとは、キャンプの魅力とホテルの快適さを兼ね備えた新しいスタイルの宿泊形態で、多様な世代に人気を博しています。計画では、乙女の湯周辺に飲食テナントや新しいテントを設置し、最高の環境で自然を楽しみながら宿泊できる空間を作り出します。
さらに、乙女の湯の泉質は美肌の湯として知られており、飲食場所の拡充に加え、入浴料も以前と同様に設定されるため、温泉としての魅力も存続します。年間利用者数は1万人、売上は2億円を見込んでいるとのことです。
クラウドファンディングの開始
この大規模なプロジェクトのためには約8000万円の事業費が必要で、その中の500万円をクラウドファンディングで募る計画があり、特典として入浴券や施設に名前を刻むことができる企画も用意されています。地元の人々と共に新たなスタートを切り、豊岡の魅力を発信していく取り組みが今注目されています。
地域とのつながりを深めて
豊岡市の担当者は、単なる日帰り温泉からの転換を望んでおり、このプロジェクトが地域の活性化のモデルケースとなることを期待しています。天川社長も、この取り組みを通じて、地域に広がる多様な宿泊施設を実現し、日本全体を元気にすることが目標だと語りました。地域と企業が一つになり、新しい未来を目指す「乙女の湯」復活プロジェクトに注目です。
今回の取り組みが、単なる温泉館の再生を超えて、出石町の観光の核になることを期待しています。
会社情報
- 会社名
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株式会社キリンジ
- 住所
- 大阪府大阪市天王寺区東高津町3番5号キリンジビル
- 電話番号
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