西濃運輸がAI技術を導入
最近、物流業界においてAI技術の活用が進んでいますが、その中でも特に注目を集めているのが西濃運輸株式会社の新たな取り組みです。岐阜県に本社を構える西濃運輸は、米国のティーティス社が開発したAI技術「アクレス」を使い、安全運転の管理を高度化しています。
導入の背景と目的
西濃運輸は、運転事故の撲滅と安全運転の向上を目指し、従来は目視でドライバーの運転実績をチェックしてきました。しかし、この方法は時間を要し、注意力のばらつきが生じることが課題でした。そこで、AI技術の導入を進めることとなりました。特に注目されたのが「アクレス」の持つ、従来のドライブレコーダーに対する高精度な解析能力です。
「アクレス」は、独自の大規模視覚言語モデルを基に、商業車両の運転データを用いています。そのため、新しいハードウェアの導入やシステムのインストールが不要というメリットもあり、導入がスムーズに進められました。
高精度な自動検知の実現
新たに導入された「アクレス」は、西濃運輸のドライブレコーダーに記録された運転映像を解析し、危険運転の自動検知を可能にしました。具体的には、運転中の行動、例えばシートベルトの使用状況、わき見、居眠り運転、そしてドライバーの姿勢などをAIが分析します。この技術により、安全管理担当者は短時間で危険な運転行動を把握することができるようになりました。
実際に、トライアルを通じて、一人のドライバーあたり月あたり少なくとも30分の時間短縮が達成されました。安全管理担当者からは、AIによる解析において「取りこぼしや誤検知は発生していない」という声も上がり、チェックの精度の向上が具体的に実証されています。
導入計画と全国展開
西濃運輸では、4月から全188拠点に「アクレス」を段階的に導入しています。この技術の導入は、約1万台の車両に及ぶ計画が進行中であり、これにより全国規模で安全運転の向上を目指します。AIがドライブレコーダーの全ての録画映像を厳格にチェックすることで、作業者の負担を軽減しつつ、運転のチェック精度がユニバーサルに向上しています。
今後の展望
西濃運輸は、まずは自社の輸送部門全体に「アクレス」を広め、安全で事故の無い社会の実現を目指します。また、発進時や後退時の安全確認手順をAIに学習させることで、このシステムの機能を更に強化する計画です。将来的には、AIを活用した安全管理の成果を広く物流業界全体にシェアし、公共のプラットフォームとして発展させることが期待されます。
まとめ
AI技術の導入によって、安全運転管理の効率化と質の向上を謳う西濃運輸。物流業界でのAIの活用は新たな局面を迎えており、「アクレス」によって、より安全な運転環境の構築が進んでいます。今後の展開に目が離せません。