酸素不足がもたらす皮膚の低下とその対策についての研究

日本メナード化粧品株式会社が、皮膚再生における酸素の重要性に関して興味深い研究結果を発表しました。研究では、酸素濃度が幹細胞のエネルギー産生に影響を及ぼし、肌の再生能力に大きな役割を果たすことが明らかになりました。

酸素濃度と皮膚の再生

メナードは幹細胞による皮膚再生のメカニズムを研究するために、2003年から数多くの実験を行ってきました。その結果、通常の皮膚には平均約3％の酸素濃度が存在し、この条件下で表皮幹細胞が正常に機能することが確認されました。しかし、酸素濃度を0.5％に下げると、表皮再生が顕著に阻害されることが示されました。これは、酸素が表皮幹細胞のエネルギー産生に欠かせない存在であるためです。

分析の結果、酸素が不足すると、ミトコンドリアを介したエネルギー産生が低下し、新しい表皮細胞を生成する能力が制限されるとされています。このように、酸素が不足する環境下では、表皮の再生能力が薄れてしまうため、再生を促進するための対策が必要です。

毛細血管の役割

さらに、研究では毛細血管の状態が表皮の再生能力にどのように関連しているかも分析されました。皮膚の内部を非侵襲的に観察できるLC-OCTを用いたところ、毛細血管が少ない方は、表皮が薄くなる傾向があることがわかりました。これは、加齢や生活習慣の影響で毛細血管が減少し、酸素供給が不足することで幹細胞活性が弱まるためと考えられます。

この結果からも、皮膚再生のためには毛細血管の維持が不可欠であることが示唆されています。血行を良くするためにフェイシャルマッサージを行うことや、毛細血管の健康を保つことが、皮膚の状態改善に寄与すると考えられます。

新たな技術開発への道

また、メナードは酸素の運び手である赤血球の機能も重視しています。研究を通じて、加齢によって赤血球の機能が低下することが確認されており、新しい赤血球を生成するための成分の発見にもつながっています。これにより、皮膚に必要な酸素を効率的に供給できる可能性が期待されています。

2025年9月には、フランスのカンヌで開催される国際化粧品技術者会連盟学術大会で、この研究成果が発表される予定です。これにより、さらなる皮膚再生促進技術の開発への道が開かれることでしょう。