オンセミ、次世代シリコンカーバイド技術「EliteSiC M3e」で電化革命を加速
オンセミ(Nasdaq: ON)は、電化社会の実現を加速させる次世代シリコンカーバイド(SiC)技術プラットフォーム「EliteSiC M3e MOSFET」を発表しました。深刻化する気候変動問題と世界的なエネルギー需要の増加に対応するため、各国政府と企業は脱炭素化に向けた取り組みを強化しており、電化への移行は不可欠な要素となっています。
オンセミは、この世界的な電化への移行を加速するために、従来製品と比較してターンオフ損失を最大50%削減する「EliteSiC M3e MOSFET」を開発。この技術は、電気自動車のパワートレイン、DC急速充電器、ソーラーインバータ、エネルギー貯蔵システムなど、幅広い自動車および産業用アプリケーションに貢献すると期待されています。さらに、データセンターの高効率化にも役立ち、持続可能なAIエンジンの運用を実現する可能性を秘めています。
従来製品を凌駕する性能と信頼性
「EliteSiC M3e MOSFET」は、オンセミ独自の設計・製造技術によって、信頼性の高いプレーナアーキテクチャを採用し、導通損失とスイッチング損失を大幅に削減しています。導通損失は従来製品と比べて30%低減、ターンオフ損失は最大50%低減を実現しました。
また、業界最小の特性オン抵抗(RSP)と短絡耐久性を備え、SiCの使用量が特に多いトラクションインバータ市場においても高い性能を発揮します。1200V M3eダイは、オンセミの最先端ディスクリートおよびパワーモジュールにパッケージされ、従来のEliteSiCデバイスと比較して相電流が大幅に増加しています。これは、同じトラクションインバータハウジングで出力電力を約20%増加することを意味します。逆に、出力レベルを一定に保つ場合は、SiC含有量を20%削減することができ、コスト削減と小型化、軽量化を実現し、より信頼性の高いシステム設計を可能にします。
インテリジェントなパワー技術との連携でシステム全体を最適化
オンセミは、「EliteSiC M3e」プラットフォームと組み合わせるゲートドライバ、DC-DCコンバータ、電子ヒューズ(eFuse)などのインテリジェントなパワー技術の幅広いポートフォリオを提供しています。これらの技術を統合することで、システム全体のコスト削減と性能向上を実現します。
持続可能なエネルギー未来に向けた取り組み
世界的なエネルギー需要は今後10年間で急増すると予測されており、半導体の電力密度向上は喫緊の課題です。オンセミは、ダイアーキテクチャから高度なパッケージング技術に至るまで、SiCロードマップ全体でイノベーションを推進し、電力密度の向上に積極的に取り組んでいます。
オンセミは、複数世代の製品を並行開発することで、市場投入までの時間を短縮し、2030年までに数多くの新しいEliteSiC製品を市場に投入する計画です。
オンセミの強み:シリコンカーバイドの安定供給
オンセミは、パワー半導体における数十年の経験を生かし、世界的なエネルギー需要の高まりに対応するためのスピードとイノベーションを実現しています。SiCの開発においては、材料、デバイス、パッケージの間に密接な技術的相互依存関係が存在します。オンセミはこれらの要素を完全に所有することで、設計・製造プロセスをコントロールし、新世代の製品をいち早く市場に投入することができます。
オンセミは、今後も革新的な技術開発を通じて、持続可能なエネルギー未来の実現に貢献していくことを目指しています。