マイクロ波回転炉床炉設計で製鉄業界のカーボンニュートラルへ革新

マイクロ波技術で製鉄業界に革新

マイクロ波化学株式会社と中外炉工業株式会社は、鉱石の製錬領域における新たな戦略的提携を発表しました。この提携の目的は、マイクロ波を活用した回転炉床炉の設計と製造を通じて、製鉄業界のエネルギー効率向上とCO2排出削減を実現することです。

製鉄業界は、従来の製錬工程において大量の化石燃料を消費し、相当量のCO2を排出するという課題を抱えています。特に煆焼や還元工程では、通常はロータリーキルンといった技術が主に用いられており、今後の持続可能な発展が求められています。

そこで両社は、特徴的な回転炉床炉に注目しました。この炉は、省スペースでハンドリングが容易であるため、環境負荷を軽減しつつ、鉱石を効率的に処理することが可能です。マイクロ波化学は、マイクロ波技術を駆使した「Green Mining-MX」という技術プラットフォームを構築しており、これを介してカーボンニュートラルに向けた鉱山プロセス事業に注力しています。また、昨年度にはマイクロ波を利用した連続式の標準ベンチ装置が完成し、さまざまな鉱石の高温焼成や反応に適応できる体制も整いました。

一方で、中外炉工業は約80年にわたる歴史を持つ日本の工業炉メーカーであり、様々な産業向けに高効率の炉を提供しています。最近では、カーボンニュートラルを実現するための新たな技術開発に取り組んでおり、エネルギー効率を向上させる水素燃焼やアンモニア燃焼の技術を導入するなど、持続可能な未来に向けた努力も続けています。

この新たな提携により、両社はそれぞれの専門分野における最先端技術と豊富な経験を結集し、革新的なマイクロ波回転炉床炉の設計と製造に乗り出します。これにより、鉱石の製錬プロセスでのエネルギーコスト及びCO2排出量を大幅に削減し、製鉄業界や非鉄金属製錬業界のカーボンニュートラル達成を加速することが期待されます。また、新技術の導入によって生産効率の向上にも寄与することができ、業界全体の持続可能性を高めるでしょう。

今後は、両社がそれぞれの強みを活かし、開発と設計、そして早期の商業化に向けた製造に取り組んでいきます。この革新的な取り組みが、製鉄業界の未来を変える重要なステップになることが期待されています。