ポリエステル衣類が放射線を浴びると光る?驚きの発見と医療への応用
早稲田大学などの研究チームが、ポリエステル製の生地や衣類が放射線照射によって発光することを発見しました。さらに、陽子線ビーム照射によるポリエステル衣類の発光画像化にも成功しました。この発見は、放射線治療や計測など、様々な分野への応用が期待されています。
放射線治療の精度向上に貢献するポリエステル衣類
放射線治療では、正確な放射線照射が求められます。しかし、患者の体動や呼吸など様々な要因によって、放射線が目標位置からずれてしまう可能性があります。より精度の高い治療を提供するためには、治療中に患者の位置や放射線ビームの位置をリアルタイムに確認する必要があります。
従来、放射線治療用高エネルギーX線照射で発生するチェレンコフ光を画像化する試みがなされてきました。しかし、陽子線治療ビームではチェレンコフ光がほとんど生成されず、リアルタイム画像化が困難でした。
ポリエステル衣類が放射線照射で発光!新たな画像化技術への期待
今回の研究では、患者体表面に密着して配置可能なシンチレータ材料として、放射線照射で発光する生地や衣類を探索しました。その結果、ポリエステル製の生地や衣類が放射線照射によって発光することを発見しました。さらに、陽子線ビーム照射によるポリエステル衣類の発光画像化にも成功しました。
ポリエステル製の生地や衣類は、柔らかく自在に曲がるため、患者の体表面に密着させることができます。そのため、放射線治療における表面発光計測など、様々な分野への応用が期待されています。
医療分野への応用だけでなく、幅広い分野での活用も期待
ポリエステル生地や衣類は、衣料用に大量生産されているため、低コストで入手できます。また、放射線照射によって発光する性質は、医療分野だけでなく、放射線計測やセキュリティ分野など、幅広い分野での活用が期待されています。
今後の研究開発
研究チームは、今後、より高性能で変形可能な新しいシンチレータの開発や、様々な放射線に対する発光特性の解明を進めていきます。また、陽子線以外にも、治療用X線や電子線、さらには診断用X線装置やCT装置の放射線照射位置リアルタイム計測への応用可能性も探っていきます。
この研究成果は、放射線治療の精度向上や、新たな放射線計測技術の開発に貢献することが期待されます。