アレクサンダー・エクマンの新たな挑戦「PLAY」
舞台芸術の新たな地平を切り開く作品、アレクサンダー・エクマンによる「PLAY」が、新国立劇場オペラパレスで開幕しました。この作品は、2017年にパリ・オペラ座ガルニエ宮で初演され、大きな反響を呼び、今回初めて日本の舞台で披露される運びとなりました。
イマジネーション豊かな舞台設定
「PLAY」は、その名の通り、遊び心あふれる演出が特徴です。二幕構成のこの作品では、子供時代の無邪気な遊びと大人の遊びとの対比を描いています。幕が開くと、白を基調とした舞台装置が目の前に広がり、ダンサーたちがその中に登場。彼らが発する音に合わせて共鳴し、まるでひとつの生命体のようにダンスを繰り広げる様子は圧巻です。
特に注目したいのは、舞台上から降り注ぐ6万個の緑のボール。降ってくる様子はまるで自然の雨のようで、観客をその世界に引き込みます。この演出は、舞台上での楽しさや遊び心を強調するためにデザインされており、ダンサーたちがその巨大なボールの中で戯れる姿に、観客は心を奪われます。
重厚なテーマと壮大な音楽
第二幕では、衣装と舞台が一転し、現代社会の規範に縛られた暗い側面を表現します。未来をテーマにした過去の悪夢とも言うべきシーンが展開され、エクマンの視点からの社会への鋭い批評が感じられます。そんな中でも、ミカエル・カールソンによる音楽は、舞台上の雰囲気を見事に醸し出しています。彼の音楽は一瞬の美しさと不安定さを共存させ、観客を飽きさせません。
また、アメリカのシンガー、カリスタ・デイの歌声も印象的で、舞台上の緊張感を高めます。まさに約50名のパリ・オペラ座のダンサーや演奏陣が、特異な世界観を体現し、観客に「遊ぶこと」の本来の楽しさを問いかけてくるのです。
開幕からの盛り上がり
ゲネプロを通して、観客の心に何かしらの刺激を与える力強いパフォーマンスが展開されました。開演前の緊張感とは裏腹に、舞台が始まるや否やそのエネルギーは炸裂し、観客を取り込む様子はまさに圧巻でした。この作品は、アレクサンダー・エクマンのダンスに対する情熱と独創性がいかに強いものであるかを示しています。
本公演は2025年7月25日から始まり、各回は午前と午後の2回公演が設定されています。チケットは、S席が29,000円からC席が7,000円まで計画されており、学生割引も用意されています。また、未就学児の入場はできませんので、注意が必要です。
最後に、この「PLAY」はただの舞台ではなく、観客ひとりひとりへのメッセージが込められています。それは、人生における「遊び」の価値を再認識させてくれる内容になっています。心から楽しむことで、日常がどれだけ豊かになるかを教えてくれるでしょう。ぜひ足を運んで、その目で体感してみてはいかがでしょうか。