JFE商事エレクトロニクス株式会社の新たな挑戦
JFE商事エレクトロニクス株式会社は、2024年11月27日から29日までパシフィコ横浜で開催されたマイクロウェーブ展2024において、革新的な「ミリ波技術を用いた建築外壁の内部診断技術」を発表しました。この技術の紹介には、元大阪大学基礎工学研究科の教授で現在東京大学大学院理学研究科フォトンサイエンス研究機構の特任研究員である永妻忠夫氏が共同で登壇し、参加者の関心を集めました。
特別講演では、急速に電波を変化させる能力と、建物内部の欠陥情報をわずか1ミリ秒で取得できるという突飛なスピードが強調されました。これにより、建築物の診断が迅速かつ正確に実施できることが示され、業界内での注目を集めています。
技術背景と開発の目的
近年、日本国内で増加している外壁崩落事故に対する対策が強く求められる中、2008年には建築基準法による定期報告制度が導入されましたが、依然として多くの事故が報告されています。特に1970年代から80年代に建設された高経年マンションは、経年劣化による問題が深刻化し、その修繕作業を担う人手不足が顕著です。
長時間労働や賃金の低さが影響し、労働環境が厳しい中、今後の建物の品質を保持するためには効果的な新技術の導入が不可欠です。JFE商事エレクトロニクスは、このような課題に対して高度な診断技術を提供し、外壁崩落事故を未然に防ぐことを目指しています。これにより、安全で安心な住環境を築く手助けを行うことが期待されます。
ミリ波技術の特長
新技術の特長としては、以下のポイントが挙げられます:
1.
周波数の自由設定: 4GHzから40GHzの範囲で、精密な光波長コントロールにより任意の帯域の電波を生成します。
2.
高速度診断: わずか1ミリ秒で、建物内部の欠陥情報を取得可能。
3.
小型軽量化: レーダフロントエンド部の軽量化を実現し、ドローンやロボットへの搭載を可能にしました。
この技術は、建築業界において必要不可欠な診断能力を更に高めるものとして期待されています。
今後の展望
また、2021年および2023年に発表された技術からさらに進化した、ハンドヘルド式のユニットが2025年2月にフィールドデビューする予定であることも発表されました。これにより、測定の安定性や画像の鮮明さも向上し、より効率的な外壁診断が実現することでしょう。
JFE商事エレクトロニクスは、この新しい技術を通じて、建物の品質維持と安全管理の強化を目指し、未来の建築環境の発展に貢献していく意義を強調しています。