米国銀行のデジタル顧客体験、資産管理ツールとバーチャルアシスタントが新たな差別化要因に!
J.D. パワーが発表した2024年米国銀行モバイルアプリ、オンラインバンキング、クレジットカード顧客満足度調査によると、モバイルアプリやウェブサイトにおける顧客体験は、銀行やクレジットカード会社にとって重要な差別化要因となっています。
調査では、米国の銀行やクレジットカード会社は、モバイルアプリやウェブサイトを通じてシームレスで効率的な顧客体験を提供することに成功している一方で、ブランド間の差別化が限定的であるという課題も明らかになりました。
しかし、その中でも資産管理ツールとバーチャルアシスタントは、顧客満足度を向上させる有意義なデジタル顧客体験を推進する分野として注目されています。
個人向け資産管理ツールの重要性
今回の調査では、ランキング上位と下位の銀行やクレジットカード会社のモバイルアプリやウェブサイトにおける総合満足度の差は縮小しているものの、個人向け資産管理ツールに関しては依然として大きなばらつきが見られます。
クレジットスコアのモニタリング、支出の分析・分類、予算管理ツールなどの利用は、顧客満足度に大きな影響を与えます。そのため、銀行やクレジットカード会社は、これらの機能を充実させることで、顧客満足度向上につなげることが重要になります。
バーチャルアシスタントが若年層に人気
バーチャルアシスタントの利用率は、クレジットカードと銀行の顧客全体ではまだ低水準ですが、特に若年層の間では過去3年間で着実に増加しています。
バーチャルアシスタントを通じて利用される主な機能は、口座残高の確認、支払い、取引の確認、送金などです。銀行やクレジットカード会社は、若年層を含む幅広い顧客層に、バーチャルアシスタントを通してよりパーソナライズされたサービスを提供することで、顧客エンゲージメントを高めることができます。
P2P決済と送金の普及
銀行は、ウェブサイトやモバイルアプリにおけるP2P(個人間)決済・送金プロセスの強化に取り組んでおり、その取り組みは利用率の増加という形で成果を上げています。
米国の全国系銀行の顧客の約3分の1が、銀行のモバイルアプリでP2P決済や送金を利用しており、この数字は、前回調査と前々回調査と比べて増加しています。これは、銀行が顧客のニーズに応え、より便利でシームレスなデジタルサービスを提供することに注力していることを示しています。
顧客満足度ランキング
J.D. パワー 2024年米国銀行モバイルアプリ顧客満足度調査℠では、以下の銀行が上位にランクインしました。
全国系銀行モバイルアプリ部門
1位:Capital One
2位:Bank of America
3位:Chase
地方系銀行モバイルアプリ部門
1位:M&T Bank
2位:Citizens Bank、Fifth Third Bank、KeyBank(同点)
全国系銀行オンラインバンキング部門
1位:TD Bank
2位:Capital One
3位:Wells Fargo
地方系銀行オンラインバンキング部門
1位:Regions Bank
2位:Huntington
3位:Fifth Third Bank
クレジットカードモバイルアプリ部門
1位:American Express、Bank of America(同点)
3位:Discover
オンラインクレジットカード部門
1位:American Express
2位:Discover
3位:Wells Fargo
J.D. パワーの調査結果は、銀行やクレジットカード会社にとって、デジタル顧客体験の重要性を改めて示すものです。今後、銀行やクレジットカード会社は、顧客満足度向上のため、資産管理ツールやバーチャルアシスタントなどの革新的なデジタルサービスを提供していくことが求められます。