築30年以上の物件の現状と市場動向
不動産情報サービス「LIFULL HOME'S」を運営する株式会社LIFULLによると、全国で築30年以上のマンションの割合が増加しています。2024年にはその割合が54.5%に達し、特に福岡県などでは60%を超える状況です。このデータは、高齢化社会における「住まい」の老朽化と、世代交代に伴うニーズの変化を反映しています。
社会全体の高齢化と住宅の老朽化
2025年には団塊世代が75歳以上の後期高齢者になると予測されており、5人に1人が老年層になる「超高齢化社会」の到来が見込まれています。その影響で、古い住宅が増えている中でどのようにリノベーションや流通が進んでいくのでしょうか?
特に注目すべきは、築30年以上の物件の需要が高まっている点です。新築のマンション価格は高騰を続けており、特に首都圏では価格の上昇が続いています。このため、中古マンション、とりわけ築古物件への関心が高まっているのかもしれません。
需要の動向と反響の増加
LIFULL HOME'Sが発表したデータによると、築30年以上のマンションに寄せられる問い合わせ数は、全体の57.3%を占めており、掲載割合を上回る結果になっています。特に、首都圏や愛知県では築古物件に対するニーズが顕著です。
このように、築年数の古い物件は実際に反響を集めていることが分かります。立地条件が良いところに位置している場合も多く、リノベーションを行えば新築同様の居住空間が実現可能です。
価格動向と管理コスト
築30年以上のマンションの価格は、全国的に緩やかな上昇が見られます。特に首都圏では2020年以降の価格上昇が激しく、現在は過去に比べ410万円以上の上昇が確認されています。
また、修繕積立金や管理費も上昇傾向にあり、特に首都圏では2024年における修繕積立金の相場は12,933円/月に達しています。これは建材費の高騰を反映しており、物件の維持・管理に関するコスト負担が大きくなることが予想されます。
まとめ:築30年以上物件の未来
1953年に日本で初めて分譲されたマンションから71年が経ち、築年数が進むにつれて物件の老朽化が進んでいます。居住者の高齢化や建替え資金の問題、建替えの合意形成の難しさにより、建替えが進まない実情もあります。
それでも築30年以上の物件の人気は依然として根強く、特に新築が高騰する現代においては、中古市場が活性化しつつあります。今後も、これらの物件を取り巻く環境とニーズは変化していくことでしょう。維持・管理コストや将来の資産価値を考慮しながら、賢い住まい探しを行うことが重要です。