サイバーセキュリティ強化を目指すMPower Partnersの新たな出資
近年、サイバー攻撃の脅威が深刻化している中で、ESG重視のグローバルベンチャーキャピタルファンド、MPower Partners(以下MPower)が、日本のサイバーセキュリティプラットフォームを開発している日本サイバーディフェンス株式会社(以下NCD)へ出資したことが発表されました。これは単なる投資以上に、現代の企業が直面するサイバー攻撃のリスクを軽減するための重要なステップと言えるでしょう。
サイバー攻撃の現状
生成AIの普及や地政学的緊張が影響し、サイバー攻撃の発生率が高まっています。警察庁のデータによれば、2024年上半期にはランサムウェアの被害報告が114件に上り、そのほとんどが中小企業で発生しています。業種別に見ると、製造業や卸売・小売業、サービス業など幅広い業界が被害を受けています。さらに、フィッシング報告件数は驚異的な63万3,089件に達し、インターネットバンキングに関する不正送金の総額は24億4,000万円にもなるとのことです。
中小企業の課題
経済産業省の調査によると、約70%の中小企業が組織的なセキュリティ体制を整備していないと回答しています。また、過去3期における情報セキュリティ対策の投資を行わなかった企業も約60%に達しています。しかし、対策を行った企業の中には、その投資が実際の取引に結びついたと感じる企業もいるようで、いかにセキュリティ対策が事業にとって重要であるかを示しています。
しかし同時に、日本にはサイバーセキュリティの専門家が不足しており、その需給ギャップは約11万人とされており、他国に比べて非常に厳しい状況です。これらの要因が絡み合い、中小企業はセキュリティ対策を進めることが難しくなっています。
NCDの取り組み
日本サイバーディフェンス株式会社は、こうした課題を解決するために、多業種に対応した国産サイバーセキュリティプラットフォームの開発を行っています。創立から短い企業ながら、英国政府のサイバーセキュリティ関連機関から高い評価を受け、その厳格な基準を満たしたことが認定に繋がっています。
MPowerはNCDの経営陣やサービス内容に期待を寄せており、特に防御体制や高度な脅威検知能力、24時間365日体制での自動化SOC(Security Operations Center)などを評価しています。この新たな出資は、NCDの成長をサポートするためのものであり、日本国内のサイバーセキュリティを一層進化させることが期待されています。
未来への期待
MPowerは、NCDと共に日本のサイバーセキュリティプラットフォームの実現を目指しており、その取り組みには非常に大きな期待が寄せられています。技術革新が進む中、企業が適切なセキュリティ対策を取ることは今後ますます重要になってくるでしょう。また、MPowerの出資が日本のスタートアップエコシステムに新たな風を吹き込み、持続可能な成長の一助となることにも期待が寄せられています。
今後の進展が楽しみです。
参考情報