最近、株式会社Quemix、三菱電機、東京科学大学、筑波大学の共同チームが、シリコンに注入した水素がどのように自由電子を生成するのか、世界で初めて明らかにしました。この成果は、パワーエレクトロニクス分野における画期的な進展を示しています。
研究の背景
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、エネルギー効率や省エネルギー化が重要な課題となっています。その中で、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)は重要な役割を果たします。IGBTは電力変換に不可欠なデバイスであり、その性能向上が求められています。
昨年、三菱電機と筑波大学が、水素イオンのシリコン注入による電子濃度の制御技術に注目し、新たな複合欠陥を発見しましたが、その過程で自由電子が生成される理由については不明でした。今回の研究では、この複合欠陥に着目し、第一原理計算や電子スピン共鳴法を駆使して詳細なメカニズムの解明が行われました。
研究の主要な発見
この研究では、シリコン中で水素が特定の欠陥と結合することにより電子の移動や再結合が影響を受ける様子が明らかにされました。具体的には、シリコン内の電子密度がどのように増加し、自由電子を生成するかについての理論的な裏付けが得られました。水素原子がどのようにして電子を放出し、シリコン内で自由に動き回ることができるか、そのメカニズムが解明されたことは、IGBTの設計や製造プロセスの最適化に寄与するでしょう。
今後の展望
この研究の成果は、IGBTの性能向上に加えて、ダイヤモンドなどのUWBG(超広帯域ギャップ)材料を用いた新しいデバイスの実現にもつながると考えられています。これにより、高効率なエネルギー変換が可能となる未来が期待されます。この研究成果は、2026年1月13日に「ネイチャー コミュニケーションズ マテリアルズ」誌に掲載される予定です。
まとめ
シリコンと水素を用いた最新の研究は、エネルギー分野における新たな可能性を示しています。特に、カーボンニュートラルの実現に向けて重要な一歩と言えるでしょう。今後の研究の進展が期待されます。さらに詳しい情報については、Quemixの公式ウェブサイトを参照してください。