未利用木質資源を活用したバイオものづくり事業が始動
王子ホールディングス株式会社(以下、王子HD)を中心に、6社が共同で提案した「木質等の未利用資源を活用したバイオものづくりエコシステム構築事業」が、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「バイオものづくり革命推進事業」に採択されました。このプロジェクトは、2024年度から2031年度にかけて実施される予定です。
目指すは持続可能な製造プロセス
このプロジェクトの基本的な目標は、化石資源に依存した従来の製造プロセスから、バイオマスに基づく新しい製造プロセスへの転換です。これにより、持続可能な原料の開発や、微生物の育種・加工プロセスの実施を目指します。6社は、それぞれの専門知識を結集し、多様な技術や製品の社会への実装を推進していく計画です。
各社の役割
具体的には、以下のような役割分担がなされています:
- - 王子HD:木質由来の新素材や薬品の開発を行い、本プロジェクトの主導を担当。
- - バッカス:バイオテクノロジーとデジタル技術を融合させた「スマートセル」の開発を担当。
- - 日揮HD:微生物の開発・改良を行い、製造プロセスの整備を行う。
- - ENEOSマテリアル:未利用資源からのエタノール生産を担当。
- - 大阪ガス:バイオガス製造技術を基に、天然由来ケトン体の生産を行う。
- - 東レ:持続可能資源からのポリマー製造技術を担当。
未利用資源の活用
本プロジェクトの特徴は、製紙工場などが有するインフラを活用し、木質資源を安定的に供給する仕組みを構築する点です。この他、統合型バイオファウンドリ事業者と製品製造業者が連携し、実証を進めることにより、バイオものづくりのエコシステムを確立していきます。具体的な研究テーマとして、未利用資源の原料化や微生物育種、評価手法の開発などが挙げられています。
持続可能な未来へ
この事業により、未活用資源が新しい産業の核となり、環境負荷の低い製品の実現に寄与することが期待されています。世界に先駆けて、新たなバイオものづくりの形を模索する6社の挑戦が、持続可能な社会の構築に寄与することが期待されています。
このバイオものづくりエコシステム構築事業は、単なる研究開発に留まらず、実用化に向けた道筋を示すものとして、今後の展開に注目が集まります。