下水サーベイランスの経済価値
2024-06-27 16:43:29

下水サーベイランスが感染症対策に有効?住民の支払い意向調査で判明した経済的価値

下水サーベイランスが感染症対策の切り札に?住民の支払い意向調査で明らかになった経済的価値



近年、COVID-19など、世界中で新たな感染症が流行し、感染症対策は喫緊の課題となっています。その対策として注目されているのが、下水サーベイランスです。下水サーベイランスとは、下水の中に含まれるウイルスや細菌を検査することで、地域における感染状況を把握する技術です。早期に感染状況を把握することで、感染拡大の抑制に役立つことが期待されています。

しかし、下水サーベイランスの実施には、設備の整備や人材育成など、多額の費用が必要となります。そのため、財源の確保が課題となっていました。

そこで、早稲田大学人間科学学術院および神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科のユウ ヘイキョウ教授らの研究グループは、東京大学大学院工学系研究科の北島正章特任教授らと共同で、日本全国の主要都市において実施する下水サーベイランス制度に対する住民の「支払い意思額(Willingness-to-pay (WTP))」を推定する大規模アンケート調査を実施しました。

調査の結果、日本の多くの世帯が年間800円の追加課税で下水サーベイランスの実施を支持する意向を示したことがわかりました。この結果は、下水サーベイランスが、国民にとって重要な感染症対策として認識されていることを示唆しています。

下水サーベイランス制度導入の経済的正当性



研究グループは、アンケート調査の結果から、全国規模の下水サーベイランスを開始・維持するための費用は年間30億円であるのに対し、日本の全世帯のWTPは年間450億円と推定しました。このことから、全国規模の下水サーベイランスの整備は、経済的に正当化されると結論付けられました。

この調査結果は、日本における下水サーベイランス制度導入の経済的な根拠となり得ると考えられます。今後、中央政府や地方自治体は、この調査結果を参考に、下水サーベイランスの導入や推進を進めていくことが期待されます。

今後の課題



下水サーベイランスは、感染症対策として有効であることが明らかになりました。しかし、今後、以下の課題に取り組む必要があります。

制度設計: 効率的かつ効果的な下水サーベイランス制度の設計が必要です。
財源確保: 下水サーベイランスの実施には、継続的な財源確保が必要です。
* 情報公開: 下水サーベイランスによって得られた情報は、適切に公開し、国民への啓蒙活動を行う必要があります。

まとめ



今回の調査結果から、下水サーベイランスに対する国民の支持は高いことが明らかになりました。今後、下水サーベイランス制度が、日本における感染症対策の重要な柱となることが期待されます。


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