内定承諾への意識と転職ファストパスに関する調査
2025年度卒業予定の学生に注目が集まる中、レバレジーズ株式会社が運営するキャリア支援サービス「キャリアチケット」が発表した調査結果が興味深い内容を示しています。内定の承諾や辞退に関するこの調査は、2025年に卒業を控えた大学生や大学院生から252名を対象に実施されました。今、企業はどのように学生の内定承諾と内定辞退の動向を捉えているのでしょうか。
1.内定承諾は形だけ?学生の実態
調査において、内定を承諾した学生に対して「その会社に必ず入社しなければならない」と感じるかを尋ねたところ、実に約20%の学生が「あまり感じない」または「全く感じない」と回答しました。これは、内定承諾へのハードルが低くなっていることを示唆しており、企業側もこの傾向に注意すべきです。内定承諾が軽視されることで、入社前に辞退するケースが増加する恐れがあります。
2.「内定辞退の連絡をしない」学生は極少数
内定を獲得している学生たちに内定辞退の有無を尋ねた結果、約60%が内定辞退を経験したことがあると答えました。驚くべきことに、内定辞退をした学生の中で「何らかの連絡を行わなかった」とする回答はわずか3.6%でした。これは、内定辞退が一般化している一方で、学生たちが企業に対して一定の礼儀を保とうとしていることを示しています。
連絡手段については、内定辞退の際は「電話」を選ぶ学生が最も多く、次いで「メール」や「メッセージアプリ」が続きました。何故電話が選ばれるのかというと、学生たちはそれを「誠意が伝わる手段」として捉えているからです。一方メールでは、記録が残ることや心理的負担が少ない点が高く評価されている様子が見て取れます。
3.転職ファストパスの需要
最近、多くの企業が新卒者の内定辞退を考慮し、内定辞退後の中途採用において選考を簡略化する「転職ファストパス」を導入しています。このプログラムに対して、262名中約60%が「ぜひ利用したい」「やや利用したい」と答えました。これは、学生たちが内定辞退後も企業との関係を維持し、余計な手続きを避けたいと考えていることの表れです。
4.企業の人材戦略への影響
慢性的な人手不足が企業の長期的な存続を脅かしていますが、今後の採用においては、内定辞退の要因を真摯に受け止め、学生たちが求める柔軟な対応を重視する必要があるでしょう。内定辞退に対する企業の態度や対応が学生に与える影響は計り知れず、企業がどのように信頼関係を構築するかが重要になります。さらに、選択肢を広げる施策が求められる中で、特に「転職ファストパス」は若手の求職者には大きな魅力となるでしょう。
まとめ
キャリアチケットの調査は、学生たちが内定承諾や辞退に対してどのような考えを持っているのか、またそれに対して企業がどのような戦略を取っていくべきかを示す指標となっています。企業は新卒採用時に自社の魅力をしっかりと伝え、内定辞退を減少させるためにも努力が必要です。将来を不安視するZ世代をターゲットにした施策が、今後ますます重要になっていくことでしょう。