株式会社タクマが環境技術で栄誉を受ける
株式会社タクマのエンジニアリング統轄本部技術センター研究部に所属する藤川宗治氏が、日本ボイラ協会から「技術高度化奨励賞」を受賞しました。これは、ボイラーや関連機器の分野で優れた研究を行った著者に与えられる名誉ある賞です。受賞式は、2023年11月15日に北海道札幌市の札幌パークホテルで開催された第62回全日本ボイラー大会にて行われました。
受賞の背景
藤川氏が受賞した理由は、特に「バイオマス発電設備における省エネルギー型CO2分離回収技術の開発」に関する研究が評価されたためです。この研究成果は、一般社団法人日本ボイラ協会が発行する機関誌「ボイラ研究」に掲載された論文や、前年度の全日本ボイラー大会での発表内容が起因しています。
環境への取り組み
2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、タクマ社はごみ処理施設やバイオマス発電施設から排出されるCO2の効果的な分離と回収に取り組んでいます。これらの施設では、燃焼排ガスが多量に排出される一方で、CO2の濃度が低くなる傾向があります。このような排ガスから高純度のCO2を回収するためには、新しい方法が必要です。
技術センター研究部では、吸収液を使った化学的手法に基づいた「化学吸収法」の進展に注力しています。この方法では、吸収液を用いてCO2を化学的に吸収し、続いて高温で加熱してCO2を放散・回収しますが、この過程では多くの熱エネルギーが必要とされます。したがって、プロセスの省エネルギー化が重要な課題となっています。
新技術の開発
タクマでは、2018年から国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)と協力し、従来の吸収液よりも低温でCO2を効果的に分離できる新しい非水系吸収液の開発を進めています。この技術は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けながら進行しており、実際の設備での評価試験も行われています。
今後の展望
タクマの取り組みは、稼働中のバイオマス発電施設においても実証試験が行われており、これによって省エネルギー型のCO2分離回収技術の実用化が期待されています。技術開発の進展により、持続可能な脱炭素社会の実現に向けた貢献がさらに進むことでしょう。タクマ社の活動は、環境問題への一つの解決策となりうる魅力的な取り組みです。これからも社会に貢献する技術革新に注目が集まります。