歴史と美しさが交差する丹波篠山のお苗菊
兵庫県丹波篠山は、250年以上にわたる菊作りの伝統を誇る場所です。この地で特に注目されているのが、門外不出と称される「お苗菊(古典菊)」です。この品種は、もともと旧篠山藩主の青山忠良が1840年頃に江戸幕府から拝領し、家臣に栽培させたもので、丹波篠山だけで生まれ育てられてきました。
お苗菊の特徴は、その独特の開花スタイルにあります。満開になった花弁はまるで踊るように巻き上がり、花の裏側を見せる姿は非常に美しいものです。この雅やかな舞を、地元では「狂い」や「芸菊」と呼び、まさに舞踊のような観賞価値を持っています。開花からおよそ1か月間、この変化を楽しむことができ、様々な表情を見せてくれるのです。
特に注目すべきは、今年で第23回目を迎える菊花展です。2024年11月1日から11月14日まで、篠山城跡三の丸広場で開催されます。このイベントでは、約300鉢の菊が展示され、お苗菊を中心に大菊や菊の盆栽など豊富な種類が楽しめます。入場は無料で、時間は9時から16時までとなっており、最終日は15時までです。
菊花展の見どころ
菊花展では、お苗菊や大菊の華やかな姿を堪能できるだけでなく、様々な造形美が施された花壇も目を引きます。
- - お苗菊花壇:特に七本仕立ての花壇があり、その美しさは圧巻です。12鉢花壇や4鉢花壇など、多様な展示スタイルが見られます。
- - 大菊花壇:三本立ての盆養による花壇もあり、日本の伝統的な菊作りに触れる絶好の機会です。
- - 競技花:「日の出源氏」と名付けられた単鉢の競技花も魅力的です。
- - 小品盆栽:風格を再現した古木を鉢植えにした小品盆栽も展示される予定で、見る人を楽しませてくれます。
- - 学校園花壇:地元の小学生が育てたお苗菊も出品され、地域の教育活動とのつながりを感じさせてくれます。
このように、丹波篠山に息づくお苗菊とその文化は、ただの花の展示を超え、深い歴史と美しさを語りかけてきます。戦時中には多くの品種が失われましたが、その中で現存する数種類のお苗菊は、愛育家たちによって受け継がれています。
丹波篠山を訪れ、伝統的な菊作りやその文化に触れてみてはいかがでしょうか。お苗菊が咲き誇る姿を見ながら、豊かな歴史と気品溢れる美しさを感じることができるでしょう。