背景
令和6年の新年早々に発生した能登半島地震は、石川県珠洲市を震源に発生し、最大震度7を記録しました。この地震は能登半島全域に深刻な影響を及ぼし、特に北部では大規模な被害が見られました。北陸電力送配電では、最大4万戸が停電し、早急な復旧活動が求められました。復旧には、多数の情報やデータを一元的に管理する必要がありました。
GISの活用
北陸電力送配電は、地理情報システム(GIS)を駆使して、被災情報の収集および復旧計画の立案に取り組みました。発災直後には、北陸電力グループが開催した連絡会議でもGISを利用して被災状況を分析し、情報を提供しました。その結果、3月15日には管内の停電が全面的に解消されました。
GISで集中管理されたデータには、震災に関連する様々な情報が含まれており、今回は株式会社インフォマティクスが提供するGeoCloudを利用しました。これにより、地震による被害状況を徹底的に可視化することが可能となりました。さらに、「設備被害情報共有システム(EDISS)」も導入され、現地調査の結果を集約する役割を果たしました。このシステムは、スマートフォンを使用して現地の被災状況の写真を収集・共有するために開発され、迅速な情報収集に寄与しました。
復旧計画立案の利点
復旧計画の立案に際しては、GISが提供する空間解析機能を利用し、エリア内の配電設備の数などのデータを自動で抽出できる仕組みを整えました。これにより、復旧計画の立案は迅速化され、作業の効率も向上しました。また、EDISSには、作業員や作業車両の動態をリアルタイムで確認できる機能も備わっており、現場作業の状況を本社で即座に把握することができました。
今後の展望
今回の取り組みの成果を受けて、GIS上で管理するデータは、今後も最新の情報へと自動更新されるようなシステムが構築されています。さらに、社外からのデータもAPI Gatewayを介して自動で取り込まれることが検討されており、効率的な情報管理体制が整いつつあります。企業全体でのDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、GISの活用を一層進める方向へと向かっています。
インフォマティクスについて
株式会社インフォマティクスは1981年に設立され、CADやCGシステム、GISの開発・販売を行うシステムインテグレータです。約250名の社員が、中央官庁や地方自治体、社会インフラ向けに数多くの導入実績を持ち、業界の幅広いニーズに応えています。詳細は公式ウェブサイトをご参照ください。