経世済民を目指す新たな企業価値の創出
近年、経済活動の本質と目的が問われています。本来、経済活動は「いのち」を育むための「経世済民活動」であり、企業は社会的な利益を追求することが存在意義として求められています。しかし、現実には手段と目的が逆転し、企業活動は生き物や人々の営みを軽視する傾向にあります。この状況を打破すべく、「いのち会議」と「サステナブル・ラボ」は新たなアクションプランを提案しています。
いのち会議とサステナブル・ラボの取り組み
いのち会議は、経済システムの本質的な転換を目指しています。その中核として掲げているのが「非財務諸表」の整備です。これは企業が自然資本や人的資本、知的資本、ガバナンス体制などの情報を定量的・定性的に公開するシステムです。この非財務諸表の普及により、企業の持つ社会的な力を可視化し、新たな企業価値の指標として成長することが期待されています。
これまでに4,000社以上の企業や30以上の金融機関がこの仕組みを活用しており、そのデータを集め、官公庁と連携して非財務情報の重要性を広めています。行政機関もこの流れに対応し、地方交付税の分配や補助金、助成金の審査に非財務諸表を用いる仕組みを整えています。
非財務諸表の重要性
非財務諸表の導入により、企業の社会的価値がますます重視されることになります。たとえば、総務省は自治体や地元企業の情報を地方交付税の配分根拠にする方針を示しています。また、金融庁は銀行に対して、融資審査時に非財務諸表を考慮するよう促しています。これらの取り組みは、企業が社会的な価値を生むかどうかを評価する基準となりえるでしょう。
新しい企業評価のシステム
その結果、社会的価値の高い企業は、資金調達や採用、取引面で優遇されるようになるでしょう。一方で、持続可能性に貢献しづらい企業は淘汰されるサイクルが形成されます。このような持続可能な循環を実現するためには、非財務諸表を作成するためのツール、情報の検証機能、集積するモデルの構築が必要です。
さらに、非財務情報を標準化するための官民連携の場も整備されています。数年以内に実質的な成果が見込まれる中、「いのちを中心に据えた経済システム」への転換が強く求められています。企業は社会的な影響を可視化することで、人や社会に優しさを持つ存在としての価値を示す必要があります。
今後の展望
この取り組みによって、社会的に意義のある企業が経済全体に貢献し、持続可能な成長を実現する道筋が描かれています。私たちは、いのち会議とサステナブル・ラボの活動を通じて、企業が持つ力を引き出し、社会に貢献する姿勢を応援していくべきです。今後もこの議論に注目し、具体的な行動につなげていくことが重要です。
参照情報:
いのち会議