未利用魚が持つ可能性
最近の日本の水産業において、未利用魚という言葉が注目を集めています。未利用魚とは、一般的に食卓に並ばない魚や、価値がないとされている魚を指します。エイやサメ、さらには鮮度が落ちやすくて臭みの出る魚など、その定義は多岐にわたります。例えば、九州地方でのアイゴは、他の地域では臭うとされ、消費が難しい魚です。また、小型で調理が困難な魚も、食材としての需要が少ないため未利用魚として扱われます。
背景にある2つの問題
1. 漁獲量の減少
近年、日本の漁獲量は減少を続けています。水産庁が発表したデータによれば、1984年に1,282万トンだった漁獲量は、2020年には423万トンにまで減少しています。この数字から、いかに日本の水産業が厳しい状況にあるのかがわかります。
2. フードロスの問題
国際連合食糧農業機関(FAO)によると、世界の漁獲量の約30%が廃棄されています。これを日本の漁獲量に当てはめると、毎年約100万トンの魚が無駄になっている計算になります。この現実を受け、未利用魚を有効に活用することで、フードロスを削減し、漁獲量の減少に歯止めをかける手段として注目されています。
市場に出回らない未利用魚
最近では、技術の進化や漁師たちの努力により、未利用魚も認知されつつあります。YouTuberやテレビ番組が未利用魚を取り上げることで、食材としての再評価が始まっています。しかし、依然として市場に流通しない魚も多く、一般消費者が手に入れる機会は限られています。そんな中、