持続可能な地域づくりを目指す「いのち会議」の取り組み
2025年10月に大阪で開催される関西万博において、「いのち宣言」と「アクションプラン集」が発表されます。このイベントは、地域や立場を超えて「いのち」を大切にする取り組みを進めるための重要な一歩です。特に注目すべきは、地域の自然や食べ物に関わる人々への思いを深め、未来世代に大切なものをしっかりとつなげることの重要性です。
日本を始めとする多くの国々では、都市への人口集中が進行中で、地方の人口減少や産業の衰退という深刻な問題が浮き彫りになっています。この現象はアジアやアフリカといった他の地域でも見られ、農村の高齢化や地域産業の喪失が大きな社会問題となっています。昔ながらの暮らしや文化、手仕事の知恵は、次世代に継承される機会を失い、次第に姿を消してしまっています。この状況を打破するための一環として、大阪大学は「農業・林業・ものづくりを軸とした持続可能な地域のモデル構築」に向けたプロジェクトを推進しています。
この活動は「知の地方化」に取り組むもので、地域が本来持つ知識や技術、人とのつながりを尊重し、活用することを目的としています。「知の地方化」というコンセプトは、単に知識を移転することではなく、地域の豊かな自然や生活に根ざした知恵を学び、地域社会がその価値を認識し、活かすことを促進するものです。そこには市場の効率では測れない、根源的な価値が息づいています。
プロジェクトの中でも特に注目すべきは、地域の方々との協働によって得られる体験や教育の重要性です。たとえば、学生を地域に派遣し、地域の人々との対話を交えながらその文化や価値を理解しようとするフィールドスタディが行われています。このような取り組みは、国境や文化の違い、都市と農村の隔たりを超えたアクセス可能な知識の共有を目指しています。
このプロジェクトでは、二つの重要な問いが浮上してきます。一つ目は、いのちを育むための「つくること」の技や知恵を次世代にどう引き継ぐかという点です。手仕事や地域素材を使った製品づくりは、生産手段ではなく、人と自然との共生の「いのちの技術」と言えます。
二つ目は、農村と都市、さらには地域間の結びつきをどう再生するかということです。農村と都市は本来対立する存在ではありません。都市の生活や経済は、農村の営みに支えられています。例えば、日本が「食事がおいしい国」として認識されている背景には、農業に関わる生産者の知恵と努力、そして自然の恵みが大いに関係しています。食事を通じて、いのちをつなぎ、誰かの営みに共感することが求められます。
次世代への技術や価値観、つながりの継承に向けて、「知の地方化」と「いのちをつなぐ」視点を持つことが不可欠です。地域の意見に耳を傾けることで、多様な立場の人が共に考え行動する社会が生まれ、新たな循環と共生が実現できるでしょう。
プロジェクトでは、地域の実践的な知識と大学の研究を fusionし、持続可能な地域づくりのモデル構築を行います。具体的には、地域資源を活かした「実証フィールドの設置」や「農・林業×テクノロジーを現地導入する評価プロジェクト」、「地域と研究の共創ワークショップ」などが挙げられます。これらの取り組みは、地域振興にとどまらず、地方自律の発展を特徴としており、特に地域の研究者や実践者が参加し、資源循環型の持続可能なモデルを提案しています。
いのち会議は、国や文化を超えて、大学の教育・研究と地域社会をつなげることで、学生や子どもたちが地域で実践的に学び、地域の将来的な担い手を育成することを目指しています。地域の声を聞き、共に考え、一緒に行動することで、新たな共生社会が実現されることを期待しています。
お問い合わせ
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