長良川の水害リスク
2025-06-20 16:41:20

岐阜県長良川中流域における水害リスクの気候変動影響を探る

気候変動による長良川中流域の水害リスク



近年、気候変動の影響が顕在化する中、岐阜県の長良川中流域では水害リスクが高まっています。国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学とSOMPOインスティチュート・プラスは、2022年から2025年にかけて共同で行った研究により、気候変動によって拡大する水害リスクについて詳細に予測しました。

この研究では、長良川中流域を対象に、現状の気候条件下での洪水が、温暖化による2℃の気温上昇に伴いどのように変化するかを解析しました。具体的には、地形や堤防の配置をもとに、氾濫ブロックを識別し、重要な水防箇所や堤防評価を行った上で、破堤が予想される箇所を抽出。さらに、さまざまな気候条件に基づく240のケースを設定し、シミュレーションを行いました。

研究の結果、岐阜市忠節基準点において2℃の上昇によって洪水ピーク流量が現在の1.08〜1.16倍になることが予測され、浸水域も拡大することが明らかになりました。特に、洪水発生確率が低くなるほど浸水域が広がるという傾向が見受けられましたが、浸水の発生場所や面積、最大浸水深については、気候条件や洪水波形によって変化が大きく、単一の予測に収束しないことも分かりました。

また、岐阜大学では中小河川における洪水リスクの評価方法の改善も目指しており、ホットスポットの特定や推定精度の向上が必要な状況です。一方、SOMPOインスティチュート・プラスは240の浸水ケースで発生する人的・経済的被害を25mメッシュ単位で詳細に推計。予測によれば、将来的に気候変動により、地域全体の経済的被害は現在よりも1.4倍から5倍に増加することが示されています。この結果は高浸水リスク地域内の人口構成にも影響し、高齢者の割合が増加することが懸念されています。

これらの研究成果は、防災策の立案や地域の意思決定において重要な情報となり得るものであり、引き続き岐阜大学とSOMPOインスティチュート・プラスは気候変動による水害リスクへの研究を続けていく計画です。気候変動の影響を見据えた地域の防災対策を講じることが、今後の社会においてますます重要になるでしょう。


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