新たな潰瘍性大腸炎治療薬「トレムフィア®」の承認取得について

新たな潰瘍性大腸炎治療薬「トレムフィア®」が承認される



日本国内で、潰瘍性大腸炎の新しい治療薬として「トレムフィア®」が正式に承認されました。これは、米国の製薬会社、ジョンソン&ジョンソン(以下、J&J)が開発した薬剤であり、遂に日本市場においてもその効果が認められることとなりました。本薬剤は、これまでの治療法では効果が十分でなかった中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者に対して適応されるもので、寛解導入療法および維持療法として使用されます。

トレムフィア®の特徴



トレムフィア®は、コア技術として、インターロイキン(IL)-23を効果的にブロックする機能を持つ、初の完全ヒト型モノクローナル抗体として開発されています。この薬剤の特筆すべき点は、その二重作用(dual-acting)です。IL-23は、炎症性腸疾患を引き起こす要因として知られているサイトカインであり、トレムフィア®はこれを阻害しつつ、IL-23を産生する細胞の膜表面に発現するCD64にも結合します。こうしたメカニズムにより、より効果的な治療を実現します。

潰瘍性大腸炎とは



潰瘍性大腸炎は、免疫系の異常反応によって発症する慢性疾患で、日本では推定22万人の患者がいるとされています。この病気の症状には、出血や頻繁な下痢、激しい腹痛、体重減少などがあります。これらの症状は患者の日常生活にかなりの影響を与えるため、効果的な治療法の不足が課題として挙げられています。

QUASAR試験の成果



今回の承認は、国際共同第IIb/III相試験「QUASAR」の結果に基づいています。この試験は、従来の治療法での効果が不十分だった潰瘍性大腸炎の患者を対象に、トレムフィア®の有効性と安全性を検証しました。その結果、44週での臨床的寛解を達成した患者の割合が、トレムフィア®の投与を受けたグループにおいて大幅に向上しました。特に、200mgを4週ごとに皮下投与したグループでは50%が臨床的寛解に到達し、プラセボ群の19%に対して高い効果を示しました。

治療の流れ



新たに承認されたトレムフィア®の治療プランでは、導入用量として200mgを初回、4週後、8週後に静脈内投与し、その後は100mgを8週間隔で皮下投与する形になります。また、患者の状況に応じて、導入療法終了後に200mgを4週間隔で投与することも可能です。このプランによって、個々の患者の状態に応じた柔軟な治療が実現可能となります。

患者への期待



J&Jの代表取締役社長である關口修平氏は、この新しい治療法の重要性を強調し、炎症性腸疾患分野における患者の生活の質の向上に繋がることを期待しています。潰瘍性大腸炎は、多くの患者にとって長期にわたる苦痛を伴う疾患ですが、トレムフィア®の承認により、今後の治療の選択肢が広がることでしょう。今後も愈この分野での進展が注目されます。

J&Jの取り組み



J&Jは、医療の質を向上させるための継続的な努力を行っており、免疫疾患領域でのパイオニアとしての役割を果たしています。「トレムフィア®」の承認は、約30年にわたる研究と実績を背景にしたものであり、今後も患者にとってより良い治療方法を提供することに注力していくと述べています。今後のさらなる展開が期待されます。

会社情報

会社名
ヤンセンファーマ株式会社
住所
東京都千代田区西神田3-5-2
電話番号
03-4411-5046

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。