三菱電機と台湾ビール工場が手を組む
このたび、三菱電機株式会社は台湾の財団法人「工業技術研究院」(ITRI)および台湾タバコ・酒株式会社(TTL)の竹南ビール工場との間で、CO2回収・資源化に関する実証試験を行う基本協定を締結しました。この協定は、環境に優しい社会の実現を目指すための重要なステップとなります。
環境への貢献を目指して
三菱電機、ITRI、TTLの三者は、TTL竹南ビール工場から排出されるCO2を回収し、そのCO2をビールの製造プロセスに利用する技術を開発するために協力します。具体的には、工場内のガスボイラーから排出されるCO2を集め、その後精製してビール製造に応用することを目指します。これによって、カーボンリサイクルの新たな可能性が広がるでしょう。
これまでの取り組み
三菱電機は2024年4月にITRIとの間でグリーン技術に関連した基本協定も結んでおり、すでにCCU(Carbon Dioxide Capture and Utilization)技術の研究開発に取り組んでいます。2025年6月には、ITRIが開発したCO2回収装置を兵庫県尼崎市の先端技術総合研究所に設置し、試験を開始。これにより排気中のCO2回収が進められてきました。今回の協定締結は、さらに一歩進んだ取り組みとなります。
実証試験の具体的な内容
協定に基づく実証試験では、TTL竹南ビール工場の製造工程に実際にCO2を適用し、その経済性や技術的課題を検証することが求められます。このプロセスにより、排出量の削減だけでなく、回収したCO2の有効利用が図られます。三菱電機とITRIは、CCU技術を通じて、環境負荷低減と新たなビジネスモデルの創出を目指しています。
将来の展望
今後は2026年を目指して、CO2回収・資源化プロセスの詳細を確定し、この実証試験をスタートさせる予定です。それにより、TTL竹南ビール工場がよりサステナブルなビール製造を実現し、環境に優しい社会への貢献を果たす新たなモデルとなるでしょう。
ITRIとTTLについて
ITRIは、台湾の新竹県に本部を構え、世界トップクラスの応用研究機関として数多くの研究者を擁することで知られています。その主な目的は、科学技術の研究開発や産業の発展です。一方、TTLは台湾の国営企業で、ビールやその他の酒類を製造・販売しており、竹南ビール工場はその中で最大の工場です。
三菱電機の使命
三菱電機は「トレード・オン」活動を通じて、社会課題の解決と事業成長を同時に実現することを目指し、環境技術のイノベーションを進めています。デジタル基盤「Serendie®」を活用し、効率的にデータを集約・分析し、新たな価値創造に貢献することも21世紀の社会的使命です。
CO2回収と利用は、持続可能な未来の構築へ向けた重要な一歩です。三菱電機とそのパートナーたちが作り出す新しいビールのかたちに、今後の進展に大いに期待が寄せられています。