最近、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に対して気候変動に関する株主提案が提出されました。この提案は特定非営利活動法人である気候ネットワークによって行われ、他にもマーケット・フォース、レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)、国際環境NGO 350.org Japanなどの団体が支持しています。提案の背景には、MUFGが掲げる環境方針がある一方、化石燃料や森林破壊に関与する事業への資金提供が依然として続いている現状があります。
MUFGはこれまでに石炭火力事業へのプロジェクトファイナンスをゼロにする方針を打ち出していますが、国際的な環境基準に照らし合わせると、その取り組みは不十分であるとの批判が寄せられています。実際、過去2年間の石炭産業への融資総額は世界で3位、化石燃料部門においては過去5年で6位、パーム油産業に至っては過去4年で7位となっており、MUFGは気候変動を加速させるプロジェクトに対する融資を行っているのが実情です。これでは、2050年にネットゼロを実現し、パリ協定の目標に整合することは到底難しいでしょう。
海外の金融機関の動向を見ても、石炭火力発電事業からの撤退が進んでいます。イギリスのHSBCは2021年、2040年までに石炭火力事業への融資を段階的に廃止する意向を示し、米シティグループも同じく新規顧客への融資を引き受けない方針を発表しました。これに対し、MUFGは明確な計画を提示できていないのが現状です。
気候ネットワークの国際ディレクターである平田仁子氏は、「MUFGの現在のポリシーは強化されつつあるが、パリ協定とは全く整合していない」と指摘します。また、マーケット・フォースの福澤恵氏は、MUFGが化石燃料へのファイナンスを継続していることが、株主にとって大きな不安材料であると述べました。
さらに、レインフォレスト・アクション・ネットワークの川上豊幸氏は、MUFGが森林破壊に関連する事業にも多額の投資を行っていることを指摘し、その影響を公表していないことに対する懸念を表明しました。350.org Japanの横山隆美氏は、気候危機問題の解決には科学者の知見を取り入れた迅速な対策が求められると強調し、MUFGに対して国連の責任銀行原則に基づく行動を期待しています。
このような背景から、気候ネットワークと提案者たちは、MUFGに対する株主提案に多くの投資家の支持を求める方針を示しています。提案の詳細についてはウェブサイトで確認することができ、気候変動に対するMUFGの姿勢が注目されています。株主提案の資料は以下のリンクからダウンロードできます。詳しくは気候ネットワークの公式ウェブサイトをご覧ください。
株主提案資料は以下です。 1.
日本語PDF
2.
英語PDF
3.
投資家向け説明資料(日本語)
4.
Investor Briefing(英語)