珠洲焼でつなぐ復興の想い
京都 蔦屋書店にて開催される珠洲焼作家による作品展「やさしいくろと たゆたうあお」が、2025年1月7日から31日まで行われる。この展覧会には、珠洲焼作家8人が参加し、日常使いしやすい約150点の作品が展示される。
珠洲焼は、石川県珠洲市の特色ある工芸品で、その特徴的な無釉高温焼成の「くすべ焼き」技法によって生み出される。自然の灰が釉薬代わりになり、生地に独特の質感と力強い黒色が生まれる。この工芸は、宇宙や自然との深い結びつきをもたらし、現代の生活でも多くの人に親しまれている。
しかし、近年、珠洲焼作家は度重なる自然災害に見舞われ、作業環境の維持が厳しくなっていた。特に2024年に起こった能登半島地震は、多くの窯が崩壊するなど深刻な影響を与えた。本展は、そんな珠洲焼の作家たちの創作環境を復興させたいという願いから生まれた「WHYNOT.TOKYO」によるプロジェクトだ。
作家たちの紹介と作品の特徴
参加する作家たちは、それぞれ異なるスタイルと哲学を持っている。
- - 岩城伸佳は、自身の窯を作り、薪で焼く作陶に挑戦している。彼は「珠洲焼の魅力を一人でも多く感じてもらいたい」と語る。
- - 宮脇まゆみは、焼成の楽しさを感じながら、毎回異なる表情を持つ作品づくりに注力している。
- - 鍛治ちえみは、個々の想いを込めたキャンドルポットを出品し、「灯が皆の希望の光になるといいな」と願っている。
- - 林春香は、自然素材を重視しながら、生命力をテーマにした作品を手がけている。
他の作家たちも、それぞれの土や釉薬、焼成技法を駆使して魅力的な作品を生み出している。これらの作品は、単なる工芸品にとどまらず、珠洲の自然や人々とのつながりを感じさせるものだ。
特別イベントの開催
会期中は、特別イベントも予定されている。1月7日には、鹿野桃香による朗読会と珠洲焼作家の芝雪、林春香をゲストに迎え、珠洲焼の未来についてトークイベントが行われる。参加者は彼女たちの作品や思いに直接触れる貴重な機会だ。
この展示は、単なるアートの紹介に留まらず、復興のストーリーを多くの人に伝える場でもある。作品を通じて、珠洲焼が持つ独自の魅力を鼻にさせつつ、珠洲の土地や人々、自然との深いつながりを再考させられる展覧会となる。
この機会に、珠洲焼の豊かで深い世界に触れてみるのはいかがだろうか。珠洲焼を通じて、困難な状況でも希望を持ち続けている作家たちの情熱を感じ、その作品が放つ温かさに心を寄せてみてほしい。
◉ EVENT
- - 展覧会名: やさしいくろと たゆたうあお
- - 会期: 2025年1月7日(火)~1月31日(金)
- - 会場: 京都 蔦屋書店文具工芸売場
- - 入場料: 無料
珠洲焼の芸術家たちの復興に向けた祈りと情熱が込められた作品展。ぜひ、足を運んでみてください。