重度訪問介護の現状：人手不足とお見送りの深刻化

重度訪問介護の現状とその影響

近年、重度訪問介護のニーズが高まっている中で、人手不足が深刻な問題となっています。土屋総合研究所が実施した調査によると、重度訪問介護の依頼件数の約7割が保留またはお見送りされるという結果に至りました。この調査は、土屋グループの『ホームケア土屋』に寄せられた748件の依頼に基づいています。このデータは全国47都道府県を対象にしており、2023年1月から2024年7月までの期間に実施されました。

調査の背景

重度訪問介護は、難病や重度の障害を持つ方が在宅で自立した生活を送るために必要不可欠なサービスです。このサービスを利用することで、利用者はヘルパーから24時間の介護を受けられ、自分らしい生活を実現できます。しかしながら、そのサービスを受けるためには、十分な数のヘルパーや事業者が必要です。残念ながら、現状ではその数が足りず、多くの方がサービスを断られるという実態が浮かび上がります。

調査の結果と考察

調査結果によると、依頼をお見送り・長期保留する主な理由は圧倒的に『人手不足』で、これが73.3％を占めていました。特に都市部においてその割合が高く、東京や神奈川などの地域では顕著です。このような都市部では、依頼件数が多い一方で、実際に受けつけられる数とのギャップが深刻です。

依頼状況を分析した結果、特に依頼が多く、かつお見送りされるケースが多かった都道府県は東京、神奈川、埼玉、愛知、大阪です。これにより、都市部とそれ以外の地域での人手不足の影響が顕著に見受けられます。

改善への試み

土屋グループは、具体的な課題を明らかにし、それに対応するための取り組みを進めています。まず、人材採用コストが上昇している中で、来年度の採用戦略を見直し、より効率的な方法を模索しています。広告費をかけて短期的に多くのヘルパーを採用することはできるものの、これが結果的にヘルパーの待遇を悪化させることが懸念されています。

さらに、全国に事業所を設立し、2000名以上の従業員を雇用した実績がありますが、依然としてヘルパーの不足は解消されていないのが現実です。そこで、各地域の特性に合わせた給与設定や待遇改善の方針も検討されており、地域間のバランスをとる努力が続けられています。

結論

重度訪問介護の人手不足は、今後の福祉の現場における重大な課題です。土屋グループはこの課題に正面から取り組み、より多くのニーズに応える体制づくりを進めています。私たちがより良いサービスを提供できるようになるためには、さらなる人材確保と雇用環境の改善が不可欠です。これからも、重度訪問介護を利用するすべての人々が、自立した生活を営むことができる社会の実現に向けて努力していかねばなりません。