慶應義塾が癌治療に光
2025-05-01 09:48:13

慶應義塾大学が小細胞肺癌治療に新たな道筋を示す

慶應義塾大学が小細胞肺癌治療に新たな道筋を示す



慶應義塾大学の研究チームが、難治性癌の一つである小細胞肺癌に対する新しい治療法の可能性を探る研究成果を発表しました。この研究は同大学医学部内科学(呼吸器)教室の安田浩之准教授、大学院医学研究科の福島貴大大学院生、医化学教室の佐藤俊朗教授らによって行われました。

小細胞肺癌の現状と医療の課題



小細胞肺癌はその病態解明が遅れており、効果的な治療法が非常に限られています。特に、手術が不可能な患者における5年生存率は10%以下であり、このため小細胞肺癌は難治性癌の代表とされています。従来の治療法では不十分であり、さらなる研究が急務とされています。

オルガノイドの樹立とタイプ分け



今回の研究では、33名の小細胞肺癌患者から採取した組織を基に、40種類の小細胞肺癌オルガノイドを樹立しました。この研究によって、小細胞肺癌は遺伝子発現のパターンに基づいて4つの異なるタイプ(ASCL1、NEUROD1、POU2F3、YAP1)に分かれることが明らかになりました。これにより、各タイプに特化した治療法の確立が期待されています。

特に、全体の約30%を占める非神経内分泌タイプ(POU2F3、YAP1タイプ)では、IGF-1(インスリン様増殖因子)が癌細胞の増殖に深く関与していることが発見されました。この知見に基づいて、研究チームは動物モデルを用いて、IGF-1の受容体であるIGF1Rに対する阻害剤(IGF1R阻害剤)の有効性を検証しました。

個別化医療への期待



これらの研究成果から、IGF1R阻害剤が小細胞肺癌の新たな治療選択肢となりうる可能性が示されました。この治療法が実用化されれば、小細胞肺癌に対する個別化医療の実現が期待されます。今後、さらに詳細な臨床試験が必要となりますが、本研究は小細胞肺癌に対する新しい治療戦略を提供する重要な一歩といえるでしょう。

研究成果は、2025年4月30日にイギリスの科学誌「Nature Cancer」の電子版に掲載される予定です。

詳しい情報については、こちらのプレスリリースをご覧ください。慶應義塾大学プレスリリース


画像1

会社情報

会社名
慶應義塾
住所
東京都港区三田2-15-45
電話番号

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。