経理部門のDX化はシステム投資だけでは不十分?戦略経理実現への課題と展望
近年、企業におけるDX化が加速する中、経理部門も例外ではありません。しかし、パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社による最新の調査によると、経理部門のDX化は、システムや業務インフラへの投資だけでは不十分であることが明らかになりました。戦略経理を実現するには、人材育成や組織改革といった「人や組織への投資」が不可欠なのです。
経理部門を取り巻く現状:属人化と保守的な風土
調査では、経理部門にいくつかの課題が浮き彫りになりました。まず、長年の業務慣習により、業務が特定の担当者に集中する「属人化」が進んでいること。そして、変化を嫌う保守的な風土が、新たな役割への転換を阻んでいることです。
具体的には、経費精算、管理会計、決算といった領域において、担当者は長期間にわたって同じ業務を継続することが多く、年齢や勤続年数に関わらず、担当領域に大きな変化は見られませんでした。また、業務間の連携も弱く、担当者一人ひとりが明確な役割を担っている状況です。
3年目の壁と組織への無気力感
さらに、調査では、3年目を境に業務習熟度が向上する一方で、業務へのモチベーションが低下する傾向が示されました。入社1年目は高いモチベーションで業務に取り組んでいても、その後は徐々に低下し、3年目を過ぎても回復しないという結果です。これは、業務上の余裕が生まれる一方、キャリアにおける成長や役割の変化が伴わず、感情的な充足感を得られないことが原因の一つと考えられます。
また、長期間にわたって同じ業務を続けることで、組織に対する無気力感を持つ社員も少なくないことがわかりました。これは、管理職による適切な人材育成や組織体制の構築が不足していることも一因である可能性があります。
戦略経理を実現する人材とは?
調査では、「戦略経理」的素養を持つ人材は、全体のわずか4.8%に留まっていることが明らかになりました。戦略経理的素養とは、既存の業務や組織にとらわれず、新たな役割を積極的に追求しようとする「進化志向性」と、保守的な考え方に囚われない柔軟性です。
戦略経理的素養を持つ人材は、他の層と比べて、組織体制や人材育成に対する満足度が高い傾向が見られました。
解決策:人材と組織への投資
パーソルワークスイッチコンサルティングは、これらの課題を解決するため、「戦略経理シフト」という新たなサービスを提供開始する準備を進めています。このサービスを通じて、人材育成、組織改革、システム導入などを支援し、経理部門の戦略的な役割への転換をサポートします。
まとめ:経理部門の進化は人材と組織改革から
経理部門のDX化は、システム投資だけでなく、人材育成と組織改革への投資が不可欠です。パーソルワークスイッチコンサルティングの調査結果を参考に、自社の経理部門の現状を分析し、戦略経理の実現に向けた取り組みを検討することが重要です。