サンゲツがアプリ開発を加速する背景とは
株式会社サンゲツ(本社: 愛知県名古屋市)は、業務のデジタル化推進に向け、社員自らがアプリを開発する取り組みを行っている。特に注目されるのが、Googleが提供するノーコード開発ツール「AppSheet」を利用したプロジェクトであり、このたびこの取り組みの一環として作成されたアプリが300件を超えた。
この成果は、同社が定めている中期経営計画「BX 2025」における「デジタル資本の蓄積・分析・活用」を中心に据えた戦略の結果である。サンゲツは2020年に掲げた長期ビジョン「DESIGN 2030」において、企業のあり方を「スペースクリエーション企業」と定義しており、デジタル技術と人的資本を強化することで、ビジネスモデルの変革を目指している。
デジタル化の成果と効率化の実現
2023年1月に始まったAppSheetを用いたプロジェクトでは、参加者がさまざまな部門から集まっている。DX部門はもちろんのこと、営業や商品開発、人事、ロジスティクスなどが一体となり、業務関連のアイデアを具現化している。アプリの導入により、サンゲツは年間約11,600時間の業務時間を削減したと推定している。
このボトムアップの発展を促進するために、同社は技術的なサポートだけでなく、開発したアプリの社内表彰制度を設け、楽しみながら取り組める環境づくりを進めている。このような施策がデジタル人材の育成を後押しし、社員自身の業務改善意識を高める結果につながっている。
社員のアイデアによる具体的なアプリ事例
会社が生み出している複数のアプリは、実際に役立つものであり、社員の提案によって実現された。
1. サービスクルー配送アプリ
このアプリは、配送を担う社員が配送経路や地図を確認しやすくするもので、スマートフォンを利用して当日の配送状況を管理できる。ロジスティクス部門の担当者が開発を行い、アプリを通じて業務効率の向上が実現され、情報の迅速な共有が可能になった。これにより、配送業務の抜け漏れを減少させつつ、最適な配送ルートを確保できるようになり、業務のクオリティが向上した。
2. 就労見える化アプリ
このアプリは、勤務時間や有給休暇の取得状況の可視化を通じて、社員の働き方をサポートするものだ。以前は上司が部下の状況を把握するためには、多くの手間がかかっていたが、このアプリにより、必要な情報がすぐに確認できるように進化した。これにより、社員は自身の業務管理がしやすくなり、チーム内での業務分担や休暇の取得をスムーズに行えるようになった。
今後の展望
サンゲツは今後も、AppSheetを利用した社員主体のデジタル推進に注力し、持続可能な成長を目指していく。
社員の創意工夫を尊重し、デジタル技術を最大限に活用することで、業務の効率化だけでなく、新しいコミュニケーションの活性化や価値創造を追求していく方針だ。これにより、サンゲツは業界内外での存在感を一層高めていくことだろう。
サンゲツが大切にする「すべての人と共に、やすらぎと希望に満ちた空間を創造する」という企業理念は、今後もデジタルの力を活用して進化し続ける。
サンゲツ公式サイト