秘匿型ePROシステム
2026-06-15 13:16:24

患者と医療を結ぶ新たな秘匿型ePROシステムの実用化への道

医療現場に革命をもたらす秘匿型ePROシステム



近年、医療の現場において、患者の声をより良く反映させるための試みが増えています。特に注目を集めているのが、千葉大学医学部附属病院の研究チームとNTTドコモビジネスが共同で開発した、世界初の秘匿型ePRO(電子患者報告アウトカム)システム「ASAHI」です。本システムは、慢性疾患である潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)患者を対象にしており、患者と医療の接点を新たな形で結びつけています。

秘匿型ePROシステムの概要



ePROとは、患者が自らの症状や生活状況、治療満足度などをPCやスマートフォンを通じて直接報告できる電子システムです。このシステムの最大の特徴は、そのプライバシーの保護です。従来の方法では、患者が回答を共有することへの不安や医師への気遣いから、正確なデータが収集できないケースが少なくありませんでした。しかし、ASAHIでは秘密計算技術を用いることで、患者の個人情報を暗号化し、医療者やシステム運用者がデータを参照することなく、匿名でのフィードバックを可能にしました。そのため、患者はより率直な情報提供ができ、実態に即したデータ収集が期待されます。

研究の成果



2022年12月から2024年3月の間に、千葉県内の15施設で322名のIBD患者を対象に行われた観察研究において、ASAHIの有効性が確認されました。患者の約60%が「答えやすかった」と感じ、その理由としてプライバシーが守られていることが挙げられました。特に、どの症状を医師に伝え、どのように治療が行われているかについての理解がさらに深まりました。例えば、便意切迫感について認識しながらも、実際に医師に伝えることができたのは7割弱に過ぎなかったことが示されました。このように、秘匿型システムによって患者の本音を引き出す道が開かれたのです。

今後の展望



千葉大学の太田佑樹助教は、「診察室に生まれる遠慮の壁」を取り除く可能性を秘匿計算技術によって実現したと強調しています。IBD以外の慢性疾患にも応用が期待されており、さらにAIの導入や個別化医療への展開も視野に入れています。この研究の成果が、「率直な声」を医療に反映させる未来へと繋がることが期待されます。

研究の重要性



今回の研究成果は、国際学術誌「npj Digital Medicine」に掲載されることが決まり、世界中の研究者や医療従事者にとっても注目の的となるでしょう。千葉大学が開発したこのシステムは、単なる技術革新ではなく、医療の現場におけるコミュニケーションを根本的に変える力を持っています。AIとの融合や多様な慢性疾患への応用など、今後さらなる進展が期待され、次世代医療の実現に向けた第一歩と言えるでしょう。

このような患者中心の医療の実現に向けた取り組みは、今後の医療の在り方を大きく変える可能性を秘めています。

会社情報

会社名
千葉大学医学部附属病院 NTTドコモビジネス株式会社
住所
電話番号

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