欧州新車販売動向
2020-04-06 07:00:01
2020年2月の欧州新車販売台数に見る市場の現状と電動車の成長
欧州新車販売の現状
2020年2月の欧州新車市場は、再び厳しい状況が続いています。JATO Dynamicsの調査によれば、今月の新車販売台数は1,063,264台にとどまり、前年同月比で7.0%減少しました。この数字は2015年以降、最も少ない2月の販売数として記録されています。特に、今年に入って2ヵ月間での累計販売台数は、すでに7.3%マイナスとなっており、業界全体の下降傾向が顕著です。
市場の要因
JATOのグローバルアナリストであるFelipe Munozは、販売減少の背景には「複雑な規制」「認証を受けるべき車両の不足」「増加する経済圧力」があると指摘しています。また、2020年2月29日現在では、コロナウイルスの影響は現れず、販売が増加しているのは6か国のみという状況です。このような要素が、消費者の信頼感を損ねる要因ともなっています。
電動車の台頭
一方で、悲観的な情勢にもかかわらず、電動車は顕著な成長を遂げています。2020年2月の電動車の販売台数は135,500台と、前年同月の75,400台から80%以上も増加しました。この成長は、少ない台数のディーゼル車とガソリン車の減少と相まって進んでいます。Munoz曰く「今年に入って、欧州の自動車市場において電動車は唯一の救いになっている。業界の電動化計画が消費者からの肯定的な反応を得られているのは良い兆候だ」とのことです。
各国の電動車シェア
特に注目されるのは、電動車がドイツやフランスにおいてその販売台数が2倍以上に増加していることです。ノルウェーでは電動車のマーケットシェアが75%に達し、スウェーデン33%、フィンランド31%、オランダ22%、ハンガリー17%と続きます。主要な5カ国では、フランスが14%、イギリスが13%、ドイツが11%、スペインが10%、イタリアが8.6%のシェアとなっています。
SUVの競争
一方、SUV市場は厳しい状況です。2月のSUVの販売台数は前年同月比で1.7%減少し、415,300台にとどまりました。しかしながら、全体の市場が縮小する中、SUVのマーケットシェアは微増しています。特にラージSUVは17%の成長を見せるも、コンパクトSUVは3.7%の減少に見舞われました。
ミッドサイズカーの健闘
意外なことに、ミッドサイズカーは全セグメントの中で最も大きな成長を遂げました。この成長は、新型BMW 3シリーズとフォルクスワーゲン・パサートの存在によるもので、二つのモデルがミッドサイズセグメント全体の31%を占めています。ただし、テスラのモデル3は6%減少しており、昨年の人気を考えると少し物足りない結果となっています。
モデルランキングの変動
販売台数が伸びたモデルには、フィアット500、BMW 3シリーズ、フォルクスワーゲン・パサートなどが名を連ねています。最近では、13,600台を売り上げたトヨタ・カローラや11,600台のフォルクスワーゲンT-Cross、さらに7,500台のフォード・プーマなどがありました。これらの数字は、モデルランキングにも影響を与え、新型ルーテシア(ルノー)の躍進によりフォルクスワーゲン ゴルフが販売首位から陥落しています。
まとめ
全体的に見れば、2020年2月の欧州新車市場は多くの課題を抱えつつも、電動車という新たな成長因子の存在が期待される状況です。今後も注意深く市場を見守りつつ、動向を把握していく必要がありそうです。取り巻く環境の変化に応じて、消費者のニーズや市場の反応も変わっていくことでしょう。
会社情報
- 会社名
-
JATO Japan Limited
- 住所
- 東京都文京区西片2-22-21本郷MKビル2階
- 電話番号
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03-6801-9551